東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

中国成長減速6.1%に 1人当たりGDP、初の1万ドルに到達

 【北京=坪井千隼】中国国家統計局が十七日発表した二〇一九年の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除く実質で前年比6・1%増えた。米中貿易摩擦を受け、伸び率は一八年から0・5ポイント減り、天安門事件の影響で3・9%まで落ち込んだ一九九〇年以来となる二十九年ぶりの低水準。一人当たりGDPは、中所得国の水準とされる一万ドル(百十万円)に初めて達した。

 同時に発表した一九年十〜十二月期の実質GDPは前年同期比6・0%増。四半期ベースの伸び率では、比較できる一九九二年以降で最も低かった一九年七〜九月期と同じだった。名目ベースのGDPは、九十九兆八百六十五億元(約千六百兆円)と日本の三倍近い規模となった。

 米中両国は、十五日に貿易交渉を巡る「第一段階の合意」で正式に署名し米政権は二月に制裁関税の一部を引き下げる。だが一九年の中国経済には、貿易摩擦が大きな打撃となった。

◆米制裁関税、人件費高騰 繊維産業の集積地 二重苦

14日、浙江省紹興市の世界有数の織物市場「中国軽紡城」の一画。訪れる人の姿はまばらだった=坪井千隼撮影

写真

 中国のGDP成長率が29年ぶりの低水準となった。高度成長が頭打ちとなっている中で、米中貿易摩擦が直撃。中でも繊維産業は米国による制裁関税と、国内の人件費高騰という二重苦を受ける。今月14日、中国の繊維産業の集積地である浙江省紹興市を歩いた。 (浙江省紹興で、坪井千隼)

 ■続く摩擦

 「貿易摩擦の影響は大きい。米国向けの売り上げは二割も減った」。織物工場を営む女性(55)はため息をついた。

 日本では「紹興酒」で名高い紹興だが、中国では各種の繊維産業が集積した街として知られる。中心をなすのが織物やフェルトなどの製造業者、卸業者など計一万五千社が軒を連ねる市場「中国軽紡城」だ。複数のビルからなり、延べ床面積六十六万平方メートルと世界有数の規模を誇る。

 貿易摩擦を受けた市況悪化に加え、この日は中国の春節(旧正月)が近いこともあり、足を運ぶバイヤーの姿はまばら。女性は「破産に追い込まれた経営者もいる。貿易摩擦が収まり景気が改善してほしい」と願いをこめる米国は二〇一八年九月、中国からの織物の輸入に10%の関税を課し、一九年五月には25%に引き上げた。米中両国は十五日、「第一段階の合意」に署名。一九年九月に発動した制裁関税第四弾については、二月に引き下げることを決定した。ただ織物は第一〜第三弾の制裁に含まれ高い関税率のままだ。

 ■海外移転

 紡績や織物といった繊維産業は単純作業が比較的多く、人件費高騰により海外への工場移転が進みやすい。紹興周辺の繊維関連の工場も、一部がベトナムやカンボジアなどに移転し始めていたが、貿易摩擦の本格化で拍車がかかった。軽紡城に店舗を出し革製品などの卸売業を営む男性(46)は、「これだけ人件費が上がると商売にならない。取引先の中にも、東南アジアに工場を移した経営者は多い」と打ち明ける。

 中国国家統計局の寧吉哲(ねいきちてつ)局長は十七日の会見で「一人当たりのGDPが一万ドルを超えた。わが国の経済発展が継続し、人民の生活が改善したということだ」と胸を張った。その半面、一人当たりのGDPが一万ドルを超えることは一般的に、発展途上国が経済成長する過程で、単純な製造業が人件費の高騰などで競争力を失い成長が頭打ちになる水準とされる。

 厳しい経営環境の中、前向きに成長を目指そうという声も聞こえた。織物業「東秀(とうしゅう)紡績」の販売責任者、沈秀敏(ちんしゅうびん)さん(35)は「経営は楽ではないが、文句を言っても仕方がない。高品質の商品を低コストで作れるよう、技術改良を進めていく」と語った。

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報