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【経済】

春闘 28日本格スタート

 28日の経団連と連合のトップ会談で2020年春闘が本格的に始まる。経団連は春闘の指針で、日本型経営システムの転換の必要性を強調。産業別の交渉、社員一律の賃上げにも否定的な考えを示しており、春闘の存在意義自体が問われそうだ。労使双方に聞いた。 (編集委員・中沢幸彦、池尾伸一)

◆使 日本型雇用の脱却を 経団連・大橋徹二副会長

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 −指針では一律のベースアップに否定的だ。

 「経営陣には賃上げの勢いは維持してほしい。ただ一律的な目標設定は難しくなっている。(勤続年数に応じた)一律でなく、成果や職務に応じた配分や若手・中堅への重点配分など多様な方法を検討してほしい。同業でも業績差が拡大し、賃金体系で企業ごとの個別対応が求められている」

 −日本型雇用の見直しが必要とも主張しているが、その理由は何か。

 「年功序列賃金など、日本型雇用制度の見直しが急がれる。海外で職務を明確にする(外部から採用しやすい)『ジョブ型』雇用が広がっている。どこの社も、とがった人材は必要だ。海外との人材獲得競争に負けないようグローバルに競合できる仕組みが必要だ」

 −連合の方針に対する考えは。

 「業界横並びの賃金交渉が実態に合わなくなっている。個別企業でも労働組合の加入率低下を背景に、全社員対象の一律的な賃金要求は適さなくなっている。要求内容が細分化され、わかりにくい面もある。『底支え』の要求指標としている企業内の最低賃金協定は個別企業の判断に委ねるべきだ」

◆労 しぼむ日本の反転を 連合・神津里季生(こうづ・りきお)会長 

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 −春闘の目標は。

 「ここ二十年間で米国の賃金は二倍になるなど、先進各国の賃金が大幅に上がる中で、日本は下がっている。日本全体がしぼんでおり、分配構造の転換が必要だ」

 −経団連は一律ベアは時代遅れと言う。

 「『ベア三千円』という場合、これは基本的に平均額で、社員全員が同じ(金額)に上がるのではない。(経団連が言う)日本的雇用も中小零細企業では確立されていない。正社員以外の比率が四割に増え、人を育てるなど日本的雇用の良い部分が失われており、格差が拡大している」

 −格差を是正するために、どんな考えがあるのか。

 「企業は生み出した付加価値を(下請けの)中小企業やさまざまな雇用形態で働く人も含め、公正に配分することが必要だ。(非正規と正規の格差を是正する)同一労働同一賃金も、労組がないと進まない。組合員を増やすことと合わせて実現させたい」

 −働き方改革で労働時間が減る一方、残業代が減る心配も指摘されている。

 「企業は残業代が浮いた分を働く人に還元すべきだ。働き方改革に反対する動きが出かねない」

◆賃上げ率 2%台の維持焦点

 <日本総研・山田久副理事長の話> 2013年に政労使会議が設置されて翌年からベアが復活し、定期昇給を含めた賃上げ率は2%台が維持されてきた。今年は政府主導色が薄まっている上、景気や物価上昇の動きは弱い。賃上げ率は2%台を維持できるか、ベア復活以来、初めて2%割れとなるかが焦点だ。

 経済界は1990年代に成果主義を強調した。だが人件費の削減だけに終わり、教育訓練費も減った。その二の舞いにならないよう、日本企業の弱点である技術革新や開発力の強化につながるような人材戦略を示すことが不可欠だ。

 一方で日本の強みの品質力の維持には、チームプレーに貢献した人に向けベアによる賃金の底上げをすることも必要。ベアと成果主義の両方を目指すべきだ。

 

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