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【経済】

<働き方改革の死角>休みたい時に休める環境を

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 「年五日の有給休暇の取得義務づけ」策に関し、もともとの休みを有休にすり替える脱法的手法があちこちの企業で行われていることが分かった。企業は小手先のごまかしでなく、社員が休みたい時に有休を取れる職場環境を整える根本的な対応こそが求められている。 (池尾伸一)

 有休は働く人の心身の健康を保つため、社員の希望時に取得できる仕組み。だが、厚生労働省の二〇一八年の調査では平均十八日の権利が与えられているのに対し、労働者が取得したのは平均九・四日(取得率52%)と低調。フランスやドイツでは三十日分が100%取得されているのに比べ、大きな差があり、日本人の長時間労働の主因の一つになっている。

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 取得義務づけ策は、これまで社員の「申告任せ」だった有休取得について、企業に取得促進の責任を負わせることで取得率を上げるのが狙い。本来想定される運用はこうだ。(1)まず社員一人ごとに、希望を尊重した年間や月間の取得計画を作成する(2)半年程度過ぎた時点で、取得が進んでいない人に対し、再度、希望日を聞き、予定日を指定する−。

 企業がこうしたプロセスも踏まず、もともと休みだった日を有休で休ませることで有休取得率を一気に上げようとするのは、社員に休まれると職場が回らない体制になっているためとみられる。

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 仕事が属人的になっており「代役」がいなかったり、社員間の情報共有が進んでいなかったりする問題だ。男性の育児休暇の取得率が6%に低迷している背景にも同じ原因がある。日本労働弁護団の中村優介弁護士は「企業経営者がいま取り組むべきは、社員を休みにくくしている要因を取り除くことだ」と言う。

 有休については「急病の時のためにとっておこう」と考える社員も多く、これが有休取得が進まない要因になっている側面もある。会社と労働側が話し合って、有休とは別に、給料がある程度保証されて休める「病気休暇」などの制度をつくり、病気の場合も、リフレッシュしたい場合も、安心して休める職場をつくることが望まれている。

 

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