東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 教育 > 教育ニュース > 記事

ここから本文

【教育ニュース】

民間英語導入、制度設計に弱み 開始は来年4月、学校現場に不安

英語の民間検定試験の当面の利用中止を求めて記者会見する東大の阿部公彦教授(中)ら=6月18日、国会で

写真

 英語の民間検定試験「TOEIC」が、大学入学共通テストへの参加を取り下げた。「読む・聞く・書く・話す」の四技能を測る検定試験の導入は、実生活で使える英語力を目指す共通テストの目玉だが、民間団体に実施を委ねる制度設計の弱みが露呈した形だ。検定試験の開始は二〇二〇年四月。残された時間は長くなく、学校現場からは不安の声が上がる。

 「TOEICを受けるのは、留学志向があるなど一握りの生徒だけ」。東海地方の高校の五十代男性教員は、取り下げの影響は限定的との見方だ。

 TOEICは元々ビジネス向けの性格が強く、学校側からは共通テストへの参加を疑問視する声があり、文部科学省のアンケートでも、TOEICの受験予定者はわずかだった。

 ただ、本番が近づく中での事態に批判は強い。この教員は「共通テストで一番懸念されているのが検定試験を使う英語だ。今後も大混乱が起きるのではないか」と不安を口にし、ある教育委員会の担当者も「高校生にとって非常に大きな問題。もっと早く詰めておけなかったのか」と憤る。

 TOEICを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会は「責任を持って対応を進めることが困難」と取り下げの理由を説明した。協会も対応を進めていたが、運営や成績提供に関する事務処理が、想定よりも複雑だと判断したようだ。

 文科省は、他に参加予定の七種類の検定試験に取り下げの動きはないとしているが、内情は厳しく、関係者は「実施団体側からすれば準備が大変な割に利益も上がらない」と指摘する。

 「異なる複数の検定試験結果を比較することはできない」「トラブルや不正に対し、実施団体が適切に対応できるのか」。六月十八日、複数の大学教授らが国会内で記者会見を開き、検定試験導入の問題点を主張。当面の利用中止を訴えた。こうした懸念は根強く、利用見送りを決めた国立大があるなど、大学側の対応も分かれている。

 会見に参加した東大の阿部公彦教授(英米文学)は「検定試験側も業界内のシェアを奪われないよう仕方なく参加した面がある。TOEICは採算が合わないからやめるのだろう」と分析。「民間に責任を丸投げする制度設計自体がおかしく、今回の動きで、いかに制度が脆弱(ぜいじゃく)かはっきりした」と見直しを求めた。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報