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【NIE】

<知りたいコトバ 知っている?言葉>「こう」と「くう」

 「口腔(こうこう)」を辞書で引くと「口蓋(こうがい)と舌との間の空間。(中略)〔医師は『こうくう』と言う〕」などとあります。

 この「医師は『こうくう』と言う」の「くう」の読みについて、故小川鼎三(ていぞう)東大名誉教授が著書で振り返っています。同氏は一九四〇年ごろ日本解剖学会の用語委員を務め、日本医学会との協議に関わりました。

 「腔の字は正しくはコウと発音すべきだが、医者はクウと呼ぶことにしている。腔は体の中であちらこちらにあるので、それをみなコウとよむと耳で聞いて孔や口と区別ができないので、手術などのときまちがいが起りやすい。そのため医者は漢学を知らぬと罵(ののし)られても構わず、必ずクウとよむことを今から四十年ほど前に用語委員会できめた」(『医学用語の起り』東京書籍、一九八三年)

 医療技術の進歩や高齢社会の進展で「口腔(こうくう)ケア」「腹腔鏡(ふくくうきょう)手術」など「腔」を使う言葉をよく聞くようになりました。「こう」と「くう」、わずかな違いですが、深い意味があるようです。 (伊藤楠生)

 

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