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【NIE】

<学校と新聞>社会問題に向き合う 世界と関わる手がかりに

新聞を開き、古家先生の話を聞く生徒たち=東京都世田谷区で

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 今春の中学一年生の社会科の授業開きで、「紙ベースの新聞を家庭で定期購読している人?」と尋ねたところ、約三分の一の生徒が購読していないと回答し、さらに「毎朝、新聞を読む人」という問いに対してはほぼゼロという現実。新聞をめぐる実態に衝撃を受けました。同時に、多くの生徒がスマートフォンを活用しインターネットからニュースや必要な情報を手にしていると発言しました。

 世界地理に関する社会科学習では、教科書、地図帳とともに、世界で起きている「リアル」な出来事に生徒が関心を向けてほしいと願い、新聞記事の活用を取り入れています。気候変動、プラスチックごみ、おすしのネタなどに焦点を当て、SDGs(持続可能な開発目標)の視点から学習を進めています。

 先月は、新聞を活用した社会科学習の「名人」として知られる帝京大学教授の古家正暢先生(東京新聞NIEアドバイザー)を招いて、新聞記事のスクラップ活動から現代世界の課題に迫っていく「出前授業」を行いました。生徒たちは、高校生だった古家「少年」が新聞記事の切り抜きに取り組んだ時の話を聴き、公害に関する一九七〇年代の黄ばんだ記事のスクラップ帳を見て、当時の活字の小ささなどにも驚きの声を上げたりしました。

 古家先生は生徒一人一人に、自分の興味や関心に基づいて、新聞記事を手がかりに社会や世界に関わっていくことの大切さを、優しく、熱く問いかけました。特に、環境問題、安全保障のような社会問題に対し、「今の自分とは直接結びつかない」「中学生の自分が考えても仕方がないことだ」と諦めてしまうことで、より良い未来を切り開いていくことができるのだろうかと、「本質的な問い」を投げかけました。

 問いに対し生徒たちは、「今まで社会科を学ぶ理由を考えたことなどなかったけれど、社会科を学ぶ理由に、少しだけれど気づきました」「授業で、友達や先生に自分の気持ちや考えを伝え、コミュニケーションしていくことが大切だと感じました」など、感想を語り合いました。

 学びに「主体的」に向き合う姿勢が生まれたことをうれしく感じ、授業づくりの工夫に向け新たな覚悟をすることができました。

 (東京学芸大学付属世田谷中学校講師・秋山寿彦)

 

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