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【NIE】

<知りたいコトバ 知っている?言葉>亡霊

 名称と中身が合っていないものをよく見かけます。電車やバスの「つり革」や「網棚」が一例です。

 つり革はもとは革製でしたが、現在は主に合成樹脂が使われています。網棚も今はプラスチック製や金属製が主で、網状のものは少ないといえます。国語辞典の「デジタル大辞泉」はつり革の代わりに「つり手」、網棚の代わりに「荷物棚」「荷棚」の呼び名があるとしています。

 この種の例は、政治の世界にも存在します。中国文学者の故一海知義氏は「大臣」「首相」などをやり玉に挙げます。まず「大臣」とは「臣下のうちの大物」であり「『君』がいるから『臣』がある」のだと言います。また、「相」は「しょう」と読むとき「助ける」という意味をもち、助ける相手はやはり「君主」なのだと。今は主権在民・民主主義の世なのに戦前の「君臣」関係が残ったままだというのです(『ことばの万華鏡』、藤原書店から抜粋)。

 同氏はこれらの言葉を「『君臣』の亡霊」と呼んでいます。 (伊藤楠生)

 

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