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【NIE】

<学校と新聞>学生寮「湖国寮」 記事の切り抜き、毎日食堂に

新聞を手に取って読む学生が増えてきたようだ=東京都武蔵野市の「湖国寮」で

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 滋賀県の公立中学校での三十八年間の教員生活を定年退職し、今年四月から東京都武蔵野市にある学生寮「湖国寮」で、滋賀県だけでなく全国各地から入寮する学生を支援する立場で共同生活をしています。

 学生たちの「情報収集」がスマートフォンからだけで、新聞やテレビ等からはほとんどないので、新聞から切り取った記事を、学生が毎日集う食堂のテーブルに掲出する工夫を始めました。記事は寮で購読している三紙から、教育関係だけでなく、事件や事故など社会情勢、政治や経済、文化活動等、学生に知ってもらい、考えてほしいことをピックアップしています。

 五〜七月に行った寮生との個別面談で、記事の掲出について話してくれる学生が何人もいました。「今まで新聞を読んだことがない生活なので、テーブルにある記事を見て考えさせられ新鮮な感覚。ためになり、ありがたい」という一方、「あまり関心がない記事は見出しだけでスルーしている」と素直に語っていました。意図した成果が少しでもあり、うれしく感じました。切り抜きを見て、新聞そのものを手にして読む姿が着実に増えたようです。

 学生たちの情報収集の手段がスマホからだけになりつつある現在、その情報が間違っていたらどうなるのか、とても危惧しています。生きる力を磨き高めていく必要性を、学生たちがしっかりと意識し、社会人として世の中に出ていってほしいと願っています。

 毎日の新聞の存在を知ってもらうと同時に、その記事をどのようにして記者が取材し、文字に表し、活字となって紙面に出ているのか、それこそ記者の汗と涙の結晶が一つ一つの記事であることを少しでも理解してもらいたいという思いもあります。一つの出来事を正しく正確に伝えようと、限られた文字数の中から言葉を紡ぎ文章となっています。その過程では何人もの目でチェックも入り、新聞に掲載されてきています。

 小学校や中学校では、新聞を読む授業で、さまざまな取り組みがされています。しかし、現実の学生たちをみていると、新聞に対して、せっかく毎日見る機会があるにもかかわらず、読んでいる人数は少なくなっているのが実感です。

 湖国寮の学生たちには、そうした私の思いを少しでも伝え、浸透させていければと思っています。

 (公益財団法人湖国協会湖国寮副寮長 植田公威(きみたけ))

 

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