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【放送芸能】

有働アナどう? NHKの顔→さて、民放では

 今春、NHKを退職しフリーとなったアナウンサーの有働由美子さん(49)が10月1日から、日本テレビ「news zero」(月−金曜夜)のメインキャスターを務める。五十路(いそじ)を前に「やりたいことをしたい」と悩んだ末に選んだフリーの道。勝負の秋を控え、有働さんは「毎日現場から伝えられることも今のうち」と語る。10月期改編の「最大の目玉」と注目される中、視聴者に親しまれた「NHKの顔」は新天地で生き残れるか。 (竹島勇)

 九月上旬、東京都港区の日テレで開かれたキャスターの発表会見。NHKを辞めた後、どう過ごしていたか質問され、有働さんは東日本大震災の被災地やイスラエル、南スーダンといった紛争地を訪れたと説明した。会場が静かになるとみるや「そんなこと言うとジャーナリストっぽいよねっ」。自身に突っ込みを入れるような一言で笑いを振りまき、持ち味を発揮した。

 新たな「看板」を迎えるに際し、番組タイトルも「NEWS ZERO」から「news zero」に改め、構成も一新する。日テレは「彼女の持ち味である本音感を生かす」と期待し、有働さんも「バッシングを恐れず『このニュースはこう思います』と伝えたい」と力を込めた。嵐の桜井翔さんが引き続きキャスターを務め、局の若手アナウンサー陣も出演する。

 「NHKが大好き」という有働さんは退職するか悩んだという。軽妙な話術、機転の利いたアドリブで支持を集めた。明るく飾らない雰囲気も人気でNHKのイメージアップに貢献した。番組制作経験が豊富な元NHK幹部は昨年の番組で発達障害の子を持つ母親たちから話を引き出す司会ぶりに「うまさに舌を巻いた。これほどの力量を持つアナは当分出ない」と才能の流出を残念がった。

 有働さんのNHKでの集大成といえるのが「あさイチ」。退職までの八年間、「V6」井ノ原快彦(よしひこ)さんと司会を務めた。生放送で有働さんの「脇の汗でブラウスに染みができている」という視聴者の指摘を自身で読み上げて謝るなど、自然体な姿勢が共感を得た。

 そんな有働さんがフリーになったのは、五十歳を前にしたゆえの決断だったと明かした。「NHKではやりたいことをやらせてもらった。自分はこれからも(放送の現場で)やりたいが、後輩たちにチャンスを与える年齢になった。このままあれもこれもやりたい、というのはわがままだと悩んだ」。その結果、「組織でやったことのない表現をしてみたくなった」と転身の思いを語った。さらに「毎日(放送の)現場からニュースを伝えることができるのは今のうち」と強調した。所属先にはマツコ・デラックスさんや「くりぃむしちゅー」らの芸能事務所を選び、態勢を調えた。

 放送作家の山田美保子さんは「有働さんフリーの話題性は過去最大級であり特殊」という。「実績ある旬のアナであるのに加え、『あさイチ』で女性に圧倒的な支持を得た。こんな女性アナはいなかった」と話す。「軽く華やかなアナも目立つのはNHKにいてこそ。過去には民放に行って色あせた人もいた。有働さんは美貌を売りにしておらず、もともとNHKらしくない。民放で違和感なくやっていける」とみる。

 コラムニスト桧山珠美さんは期待しつつ「求められているのはオールラウンドだと思うが、ニュース番組はバラエティーやトークショーとは違う。あさイチとは違い(きちんとした)“よそ行き”の姿を見せられるのではないか。難しい仕事を選んだと思う。あさイチからのファンを日テレの夜に持っていけるだろうか」と指摘している。

<うどう・ゆみこ> 1969年鹿児島県生まれ、兵庫県、大阪府で育つ。91年NHK入局。「サタデースポーツ」「サンデースポーツ」「NHKニュース10」「スタジオパークからこんにちは」などを担当。紅白歌合戦の司会、ニューヨーク特派員も経験。2010年3月に始まった「あさイチ」キャスターを今年3月末まで務めた。著書にエッセー集「ウドウロク」(新潮文庫)がある。

◆視聴率争いシビアだぞ 先輩・堀尾アナがエール

 「有働らしさを貫いてほしい」。NHKアナからフリーになって十年の堀尾正明さん(63)は親交のある後輩にエールを送る。

 一九九一年、有働さんの初任地、NHK大阪局にいた。「有働らしさ」とは「場を和ませながら司会ができ、自分で取材して言葉にできる」こと。「新人時代からそうでした」

 これまで会えば「フリーはどうですか」「コメンテーターとしてどんな勉強してるんですか」などと聞かれた。「フリーへの取材だったか(笑)。NHKでやりきったと感じたのでしょう」とみる。

 堀尾さんは愛着のあったスポーツ番組の司会を離れた時に、現在の所属事務所社長に「そろそろフリーにならないか」と誘われ決断した。収入増については「魅力の一つだが、いつまでも保証はない。目指す仕事ができるかが大事」。

 今は視聴率に一喜一憂する日々だと厳しい表情も。「民放で視聴率はシビア。『news zero』も視聴率が下がれば、有働が批判の矢面に立たされるだろう」と思いやる。

 タレントやお笑い芸人らとの共演も予想される。「ふだんから共演者とのコミュケーションを大切に」とアドバイスした。

◆収入アップ!転勤なし!!が魅力

 NHKからフリーになって民放で活躍した先駆けは、1960年代前半の高橋圭三、木島則夫、小川宏の3氏ら。NHKで培った人気と実力があり、民放に大きなメリットがあった。高橋さんは「輝く!日本レコード大賞」(TBS)の中継などで活躍した。木島さんと小川さんは「木島則夫モーニングショー」(NETテレビ=現テレビ朝日)、「小川宏ショー」(フジテレビ)と自らの名前を冠した番組を持った。

 80年代以降の主な例は表(下)の通り。女性アナの去就も注目されるようになったが、有働さんの49歳は高齢といえる。フリーになる魅力は収入増はもちろん、地方への転勤がなくなることもある。

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