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【放送芸能】

<東日本大震災8年>ラジオの底力を 正確な情報発信、高まる役割

「radiko」のアプリを画面上に出したスマートフォン(手前)と従来のラジオ

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 東日本大震災後も各地で災害が多発した。緊急時、被災者に寄り添う身近なメディアとして存在感を発揮してきたのがラジオ。「3.11」から8年、今年も在京ラジオ各局はアナウンサーやパーソナリティーによる現地取材リポートなどを放送する。その中から、ニッポン放送と文化放送の取り組みを紹介する。 (山岸利行)

◆明るい話、拾っていきたい ニッポン放送・飯田浩司アナウンサー

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 ニッポン放送は十一日午後一時から、特別番組「東日本大震災から8年〜そのときラジオは…」を編成、東北の被災地を継続的に取材している飯田浩司アナウンサー(37)の福島県取材リポートなどを伝える。

 二〇一一年三月の地震発生時、飯田アナは局内で番組の収録中。「揺れが長く激しい。これは大変なことになる」と収録を中止。電気、水道などのライフラインのチェックや、「屋根が落ちた」との一報を受けて東京・九段会館に駆けつけ、リポートした。四月からは、津波で壊滅的打撃を受けた宮城県亘理(わたり)町や、東京電力福島第一原発事故で被害が出た福島県浪江町や大熊町などで取材を続けてきた。

 取材の中で印象に残っている言葉がある。一七年三月、「震災の記憶を風化させてはならない」との思いで取材を進めていたが、福島県楢葉町の女性の「いつまで被災者でいたらいいのか」との言葉に「ぶん殴られた思いがした」という。「復興は道半ばです」という型にはまったリポートになっていないかを自問しつつ取材を続けている。

 昨年は、福島の農作物についてどう安全性を確保しているかを伝えた。今年は、同県南相馬市での、ドローンなどを使った産業振興の取り組みをリポート予定。今もさまざまな形で苦しんでいる人々がいる中で、「新しい町をつくっていこうと前を向く人もいらっしゃる。明るい話も拾っていきたい」と話す。

 ラジオの役割について「信頼されるためには日々の積み重ねが大切で、リスナーの方が判断するための正確な情報を発信していくことが欠かせない」と力を込める。

◆伝えること、備えになれば 文化放送・パーソナリティー野村邦丸

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 文化放送は十一日午前九時から、生ワイド番組「くにまるジャパン 極(きわみ)」の放送で、「東日本大震災から8年 あの日、届けたかった想(おも)い」を届ける。パーソナリティーの野村邦丸(62)は震災発生翌月の一一年四月、被害が出た水戸市の茨城放送から生放送し、その後も東北各地で取材を重ねてきた。

 今年は、宮城県女川町の女川第一中学校(現女川中)の生徒が震災間もないころ、俳句の授業で詠んだ句についてのその後をリポートする。現在大学二年生になった男子学生に八年たった今、俳句を詠んでもらうほか、当時授業をした教員にも話を聞く。町では、生徒が詠んだ句を石碑に刻んで建立するプロジェクトが進められており、「夢だけは壊せなかった大震災」といった句碑もある。

 また、鉄路が不通になった被災地に石油を積んだ列車を走らせた鉄道マンの奮闘ぶりも明かす。

 これまでの取材で印象に残っているのは、岩手県釜石市の旅館のおかみさんの「まず自分を助けなさい」という言葉だという。「ご本人も津波にやられて九死に一生を得た方でしたが、自分が生きていてこそ、大事な人を助けられることを、その言葉から感じた」と振り返る。

 ラジオの役割は「日常」という。「この時間は誰がしゃべっている、というのがリスナーには染み付いている。災害時、多くの人が不安を抱いている時にラジオが(日常と)変わってはいけない。いつものラジオのオヤジだよ、というふうでありたい」が基本的な考え。

 その上で「あの時、あの人たちはこんな行動をとった。こんなふうだった、と紹介することが、これから来るかもしれない災害への備えになれば」と願う。

 <ラジオ事情や災害報道に詳しい放送作家の石井彰さんの話>

 ネット全盛時代はデマや不正確な情報が入り込んでしまう。その中にあって、きちんと正しく伝えようと努めているのがラジオ各局だ。ラジオをネットから無料で聴ける「radiko(ラジコ)」などのアプリがあり、スマホにダウンロードしてほしい。問題はテレビ局も含め放送局は人員不足で特に夜間帯、手薄になっていることだ。どこで何が起きたかという第一報、安否情報、避難所や給水所などの速報は欠かせず、態勢づくりも急務だ。各地で災害が相次ぐ中、情報を丁寧に伝えることができるラジオの役割はますます高まっている。

 

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