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【放送芸能】

平成を送る「ラスボス」小林幸子 ネットと出合い、新たな道

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 平成もきょう限り。世の中が激変した時代だったが、音楽もレコードからCD、そして配信へと環境も大きく様変わりした。好みは細分化し、世代を超えて親しまれるビッグヒットは生まれにくくなった。昭和から平成にかけ艱難(かんなん)辛苦を乗り越えて歌い続け、今やゲームの世界で最後に現れる超強敵のごとく、「ラスボス」として君臨する小林幸子(65)=写真=が平成を送る−。 (山岸利行)

 ツイッターなど会員制交流サイト(SNS)のコミュニケーションツールが台頭した平成。「便利になったが、ややこしくなった。ついていけない」と明かす。一方で「昔は一つのレコードをみんなで聴いて楽しんでいた。今は一人ひとりがイヤホンで聴く時代。好みの細分化を嘆いても仕方ない。そういう時代になった」と受け止める。

 一九六四年、十歳でデビュー。芸能生活五十五年のうち、約二十五年が昭和、約三十年が平成。「昭和はみんな貧乏だったけれど、苦にしなかった。いい時代でした」と振り返る。長い不遇の時期を経て昭和の終盤、売れっ子になった。常連となったNHK紅白歌合戦で、特に平成に入ってからの「豪華衣装」は大みそかの風物詩になった。

 「衣装を見て元気になってもらえたら」との思いで続けてきた。“恒例行事”だったが、準備にかなりの時間を費やした。合成やCGなどには頼らず、手間暇かけた壮大な手作業は、視聴者だけでなく、会場の観客もうならせた。毎回真剣勝負の場だった。

 近年は大きなうねりとなって現れたインターネット社会にも対応。二次元アニメが三次元の舞台イベントになるなど、エンタメ界も変貌しているが、平成という時代を「変わり目の三十一年だった」と話す。ネットやゲームの世界にも関わり、「ラスボス」として若い世代にも支持される。激動の世も柔軟に渡り歩く。

 「ネットとの出合いが人生を大きく変えました」。ヤマハが開発した音声合成技術「ボーカロイド」では、小林の声をもとに制作された歌声ライブラリもある。「その技術を使えば、百年後に小林幸子の新曲もできる。不思議です」。楽しみながら次代を見据える。

 時代の変化を嘆くより、その中でどんな歌をつくって歌っていくかが大切だという。今はまだ「演歌」と分野があるが、「ジャンルはなくていい。それを超えないと新しいものは生まれない」と考える。笑いの世界では、子どもから高齢者まで共通して笑える“ツボ”があるといい「歌もそう。細分化が進んでも、どの世代にも共通して支持される歌が令和の時代に生まれてくれば」と期待する。

 売れない時代、「紅白」落選も経験してきた。そのたびに、恩師で偉大な作曲家、古賀政男の言葉を常に心の支えにしてきた。「歌ではおなかがいっぱいにならないけど、人の心を温かくできる」

 小林にとって「歌」とは、「生きるためになくてはならないもの」。昭和から平成、そして令和へ。これからの目標は「白紙」だというが、ネットとの出合いで人生が変わったように、新たな出会いで新たな道が開けると思っている。

 ◇ 

 二月に新曲「ポーカーフェイスにさよなら」を出し、現在は芸能生活五十五周年記念のスペシャルコンサートを全国各地で行っている。 

<こばやし・さちこ> 1953年12月5日、新潟市生まれ。64年デビュー。79年「おもいで酒」が200万枚突破の大ヒット。同年、NHK紅白歌合戦に初出場。以来、34回出場。2006年「紺綬褒章」受章。13年「新潟県民栄誉賞」受賞。

2015年のNHK紅白歌合戦では“復活”出場し、「メガ幸子」の巨大装置で魅了した=NHKホールで

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