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【放送芸能】

今描く剣豪 手応えあり 映画「居眠り磐音」あす公開

「シリーズ化? できたらいいですねえ」と話す本木克英監督=東京都千代田区で

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 人気時代小説家、佐伯泰英の代表作を原作にした映画「居眠り磐音(いわね)」が十七日公開される。温厚で情に厚い剣豪の主人公、坂崎磐音を松坂桃李が演じた。立ち回りの壮絶さや悲恋のはかなさなどを織り交ぜた仕上がりに、本木克英監督(55)は「本格時代劇ができた。そんな達成感がある」と確かな手応えを語る。 (藤浪繁雄)

 江戸勤番を終え、同志の親友たちと九州のある藩に戻った磐音だが、藩内の謀略に巻き込まれ、上意討ちにより親友を斬る。その結果、その妹でいいなずけの奈緒(芳根京子)とも別離を決意し、自身は江戸で浪人暮らしを始める…。

 「居眠り磐音」シリーズは全五十一巻、発行部数は累計二千万部以上という超巨編。膨大な読者が原作に触れ、磐音ら登場人物の心情や物語の世界観が染みついているが、本木監督は「それは考えても仕方ない。それだけの読者がいるから映画化できた」と追い風ととらえる。こだわったのはかつて「活動屋」と呼ばれた職人肌の映画製作者が手掛けた時代劇の雰囲気。照明や所作などにその気質を発揮したという。

 その上で「違和感のないよう現代の時代劇のヒーロー像を表現した」。無敵の剣豪の磐音だが、普段は涼しげな表情で利他の精神に徹し、人を恨まず、どこまでも優しい。刀を抜くのはやむを得ない時。折り目正しく生きる若侍の磐音を演じた松坂に「当たり役」と称賛する。磐音を巡る恋模様も重要なテーマだ。奈緒との悲恋、そして江戸の両替商今津屋の奉公人、おこん(木村文乃)との恋の予感。「思いを言葉にして伝えない男女関係。(無料通信アプリ)LINE(ライン)やメールもない時代の恋愛の美しさがある」と思いをはせる。

 作品の完成後、出演していたピエール瀧被告の麻薬取締法違反事件を受け、一部を撮り直した。「協力を申し出てくれた俳優、スタッフが集まり、全員の熱意でうまくいった」と振り返る。瀧被告の出演シーンをそのまま上映した作品もあったが、「(来場者が)余計な感情が入るのは良くない」。作品に集中してもらうことを第一に考えた。

 若い世代の時代劇離れといわれて久しい。「(作品が少なく)イメージしにくいかな」と話す。自身は「超高速!参勤交代」(二〇一四年)で取っ付きやすい時代劇も手掛け「今作につなげた」と自負する。「あらゆる世代に楽しんでほしい」と強調した。

◆佐伯泰英のヒット作 「決定版」が順次刊行

 佐伯泰英は、時代小説を文庫書き下ろしで出版するというジャンルを確立させた。全作品の累計発行部数が6500万部といわれ、その中でも「居眠り磐音」は「平成で最も売れた時代小説シリーズ」として知られている。

 双葉文庫から出た原作は51巻で完結しているが、今年に入り、文春文庫で「決定版」として1巻から順次発行が始まっている。同文庫の担当者によると「佐伯先生から『ブラッシュアップ、修正したものをできないか』と相談があった」と経緯を説明する。中年から高齢者が主な読者層というが、映画公開の話題もあり、新たな読者の開拓にも期待を寄せている。

 

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