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【放送芸能】

テレ東・飯ドラマの系譜 「きのう何食べた?」異例のヒット

食卓を囲む賢二(内野聖陽)(左)と史朗(西島秀俊)(c)「きのう何食べた?」製作委員会

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 同居している同性カップルの日常を描いた、テレビ東京の連続ドラマ「きのう何食べた?」(金曜深夜零時十二分)がヒットしている。カップル役をダブル主演している西島秀俊と内野聖陽の名演技など人気を呼ぶ要素があるが、語る上で欠かせないのが同局の「深夜のお家芸」ともいえる“飯もの”ドラマの伝統。今作は家庭料理の魅力をしっかり伝えている。 (原田晋也)

 講談社の漫画誌「モーニング」に連載しているよしながふみの同名作品が原作。弁護士の筧史朗(西島)と美容師の矢吹賢二(内野)の日常を描き、同性愛者であることを公言していない史朗と隠していない賢二の感覚の差などを軸に物語が展開していく。

 人気原作、豪華な主演俳優などが話題となり、五月十日放送の第六話の平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は3・7%を記録。見逃しネット配信サービス「TVer(ティーバー)」などの広告付き動画配信の合計再生回数は、計四百二十万回と全局でトップだった。テレ東の番組で、しかも深夜ドラマとしては異例であり、快挙となった。

 今期はNHK「腐女子、うっかりゲイに告る。」、日本テレビ系「俺のスカート、どこ行った?」など“LGBTドラマ”が多いが、松本拓プロデューサーは「最初の入り口はLGBTではなく、ある意味、うちの持ち味だった飯ものドラマの延長で企画が浮上した」と明かす。

 テレ東は二〇一二年に一作目が放送された「孤独のグルメ」がヒットして以来、「侠飯〜おとこめし〜」や「忘却のサチコ」など料理や食事シーンに異様に力が入った「飯もの」を深夜帯に多く放送してきた。

 「きのう−」も、正味三十分のうち料理シーンで約五分になることもある。食費を月二万五千円以内に抑えている設定の料理上手な史朗が、てきぱきと何品も家庭料理を作り、それを食べた賢二がうっとりとした表情で感想を語るシーンは毎回話題となっている。

 料理シーンは「厚手の鍋を中火にかけて、サラダ油をひき、ショウガを炒める」など、手順が全て史朗の心の中の言葉としてせりふになっており、そのままレシピとしても成立する。ドラマ化に合わせて出版されたレシピ本は、十万部を超えた。

 「侠飯」も手掛けた松本プロデューサーは「『テレ東深夜に飯ものドラマあり』という雰囲気になっている。原作のよしなが先生も“飯もの”をご存じだったので、好意的に受け入れていただいたのかもしれない」と語る。撮影にはノウハウや技術は特にないというが「テレ東だから、おいしそうに見せなきゃいけないんだ」という空気がスタッフに何となく生まれているという。「きのう−」でも、調理と食事の場面は専門のフードスタイリストに依頼し、皿の色や調理器具にまでこだわった。

 テレビ解説者の木村隆志は、飯ものドラマについて「深夜にご飯という、食べちゃいけないものほどおいしく見える。バラエティーや情報番組の食レポはあふれているが、普通においしそうに食べるコンテンツはありそうでなかった」と指摘する。その上で「他局もいくつかこういうドラマを作ったが、テレ東の方がたけていた。やり続けてきた強みがあり、他はついていけないだろう」と、同局の独壇場を予想する。

 ドラマは全十二話で、今月二十八日まで放送予定。シリーズ化の可能性もあるという。

料理する史朗。調理手順は全て史朗の心の声としてせりふになっている

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