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【放送芸能】

骨太の名画パロディー ザ・ニュースペーパー「アベ総理」が本出版

<7>アベ総理に扮(ふん)して「文句の叫び」について語る福本ヒデ=東京都千代田区で

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 参院選が事実上始まったが、あの“総理”が向かった先は画廊だった…。社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」で「アベ総理」を演じている福本ヒデ(47)が、自作の絵を集めた画集「永田町絵画館」を出版した。与野党の現状を名画のパロディーで描ききった。福本は「参院選では清き1票を」と毅然(きぜん)と呼び掛けるも「ついでに清き1冊、ご購入を」としっかり宣伝も忘れない。 (立尾良二)

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 ブルーとイエローの服を着た女性がにこやかに陶器の瓶から何かを炎の中に注いでいる絵<1>。構図と配色は一瞬、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」と見間違う。作品のタイトルをアベ総理の声色で「火に油を注ぐ女、です」と説明する。「誰とは断定しないが、うちの妻らしき人が何の悪気もなさそうです。天真らんまんでちょっと空気が読めない行動をしてしまう、そんな絵です」

 森友学園問題で取り沙汰された首相夫人を思い起こさせる。

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 続いては、ゴーギャンの「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」と同じタイトル画<2>について、「民主党の皆さまです。いまや立憲民主党、国民民主党、行き場を失った無所属の方々だが、どこから来たのか。自民党や希望の党、生活の党から来た人もいる。何者か。脱原発だったのか分からなくなりました。どこへ行くのか。二階から自民党に入る人もいらっしゃる」。

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 「共産党の皆さんも描きました」と示すのが「キョウサントウの日曜の午後」<3>。「シイ委員長らほとんどが左を向いています。落ち着いてぶれない感じです。ひょっとしたら赤旗祭りの絵かもしれない」と説明する絵の原画は、スーラの「グランド・ジャット島の日曜の午後」。描かれた人たちが左側にある川の方を向いていることから連想したという。

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 政治風刺を売りにするザ・ニュースペーパーの舞台。福本は第1次安倍政権からアベ、アソウ、ハトヤマ、ノダ、そして2度目のアベと総理役を長らく務める。イシバ自民党前幹事長も持ちネタだ。2012年の民主党政権末期、ザ・ニュースペーパーが舞台ネタでレオナルド・ダビンチの「最後の晩餐(ばんさん)」をやることになったことが“美術の道”に入るきっかけと振り返る。「ノダ総理が『裏切り者は誰ですか』と言うコントです」

 名画がネタ作りのヒントになるのではと調べ始め、独学で美術検定2級、似顔絵検定4級、色彩検定3級を取得。今では名画の案内講座で講師も務める。絵の腕前については「政治家の物まねをやる時はメーク道具で顔を似せてきたが、その応用で紙に描くだけ。自分の顔に描くよりも楽です」と笑う。

 これまで色紙を含め300点ほど描き、東京・銀座かわうそ画廊で個展を4回開催。モデルの政治家には毎回案内状を送っており、これまでに石破茂氏や鳩山由紀夫元首相が来場したが、長らく演じている安倍首相はどうか。「お見えになっていません。ただ一昨年、総理と桜を見る会になぜか呼ばれて私もサクラになった。総理はあっという間に退席し、偽物の私が人気でした」

 安倍政権は歴代3位の長期に及び、7月の参院選で勝利すればさらに福本の“総理役”が続く。自民党総裁選で連敗している石破氏が雪辱を果たせば、それもまた福本の当たり役だ。これだけ政界トップ役を続けていると、他メンバーから嫉妬や恨みも買う?「気を付けます。本はみんなに1冊ずつ配りました。古書店に売ってしまわないようサインしました」という。

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 自身の政治的スタンスは「明らかにしません。中立はずるいという人もいるが、総理役をやっている以上、責任がある。ダメなことは与党でも野党でもネタにする。いろいろな方に舞台も本も見てほしいんです」。

 と言いながらも、失言や公文書改ざんなどが続いても、大臣がなかなか辞めなくなったことを憂え、選挙の低投票率も気になるという。「学校で習う政治を、社会科の一つのジャンルではなく、国語や英語と同様に独立させて小学生から必修科目にすべきです。衆院と参院の区別も分からず、日々のニュースも理解できずに卒業する子どもたちはかわいそう。英語の時間を増やせとか道徳を強化しろとか言う前に、政治を必修にしてほしい。投票権は車の免許のような『資格制度』にしてもいい。そうでもしないと政治に関心が湧かない」と提案する。

 参院選で投票に行こうと呼び掛ける福本。「投票前に私の本を開けば、政治に興味が湧くこと必至です」。今後について「私は誰の意向も忖度(そんたく)しません。舞台でも絵画でも自由にやらせていただきます」と胸を張った。

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<永田町絵画館> 西洋画や日本画の名画、アニメなどを政治風刺で描いた絵画集。原画のタイトルから着想した作品が多い。たとえば作品名「アベ・ドナルドの風波」<4>(歌川広重の「阿波鳴門の風波」)、「ツキなし夜」<5>(ゴッホの「星月夜」)、「ヤバい帽子の男」<6>(フェルメールの「赤い帽子の女」)、「文句の叫び」<7>(ムンクの「叫び」)など。著者福本ヒデによる解説付き。ワニブックス刊、1500円。

<「ザ・ニュースペーパー」主な公演> 7月9〜15日、東京・銀座博品館劇場(完売)▽8月3日、神奈川県民ホール▽同17日、神奈川・相模女子大グリーンホール▽31日、東京・亀戸文化センター カメリアホール▽9月6日、埼玉・大宮ソニックシティ▽同7日、東京・調布市グリーンホール。8月以降の問い合わせは東京労音=(電)047・365・9960。

 

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