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【放送芸能】

相模原事件被告通じ差別考える 放送文化基金賞最優秀賞 あす再放送

植松被告と面会している場面のスケッチ

写真

 TBSラジオと福岡のRKB毎日放送が共同制作したラジオ番組「SCRATCH(スクラッチ) 差別と平成」が、視聴者やリスナーに感銘を与えた番組に贈られる「放送文化基金賞」ラジオ部門の最優秀賞に選ばれた。障害者の長男を持つディレクターが、2016年に相模原市で起きた障害者施設殺傷事件の植松聖(さとし)被告と拘置所で6回にわたり面会し、社会に通底する差別感情について考えた骨太のドキュメンタリーだ。

 神戸金史(かんべかねぶみ)ディレクターはRKB毎日放送の記者で、重度の障害がある息子がいる。事件直後に報じられた被告の「障害者がいなくなればいいと思った」という言葉に心を痛め、「障害を持つ息子へ」と題した詩をフェイスブックに書き込んだ。その詩はテレビで朗読され、書籍化されるなど大きな反響を呼んだ。

 障害のある息子がいることを明かして被告に面会を申し込むと「いつまで生かしておくつもりなのでしょうか」などと返信があった。神戸ディレクターは勝手な論理で事件を正当化する被告と向き合い「自分は価値のない人間だったが、(事件を起こし)少しは役に立つ人間になったと思う」という言葉を引き出した。

 神戸ディレクターは事件前から、植松被告のように「自分と他者の間に勝手に線を引いて、向こう側の人々の尊厳や人格を認めない行為」が目立つようになったと感じていたという。番組では民族差別のヘイトデモや「LGBTには生産性がない」と公言した杉田水脈(みお)衆院議員にも言及。格差社会が進んで人々に余裕がなくなり、人の価値を生産性だけで測る時代の空気に警鐘を鳴らしている。

 番組中には植松被告との面会を生々しく再現したシーンもある。植松被告役は、神戸ディレクターと一緒に面会したTBSラジオの鳥山穣(じょう)プロデューサーが担当。声も似ていて、実際とかなり近いやりとりになっているという。

 TBSラジオで7日午後8時から再放送。インターネットサービス「TBSラジオクラウド」でも公開している。 (原田晋也)

 

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