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【放送芸能】

芸能界、変われる? あしき慣習「抜けたら干される」 ジャニーズ事務所、公取委が注意

3月、スペシャルライブで熱唱する(左から)稲垣吾郎、香取慎吾、草なぎ剛=東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場で

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 ジャニーズ事務所が人気グループ「SMAP」の元メンバー稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人を出演させないよう民放テレビ局などに圧力をかけた疑いがあるとして、公正取引委員会(公取委)が注意した問題では、同事務所とテレビ局は圧力を認めていないが、芸能関係者からは「みんな知っていたことだ」との声が漏れる。昭和期からの「慣習」が続いているといわれる芸能界だが、公取委の介入を契機に変わることはできるのか。 (原田晋也)

 「ジャニーズに限らず、周知なんですよ。大手の事務所を独立したタレントは何年かテレビに出られなくなるのは。見ている方も気付いていると思う」。この問題を取り上げた十八日の日本テレビ系番組「スッキリ」で、司会の加藤浩次はこうコメントした。

 同時間帯のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」、フジテレビ系「とくダネ!」も報じたが、ふだんは鋭く批評する出演者たちは口を閉ざした。ジャニーズ事務所に所属するTOKIOの国分太一が司会を務めるTBS系「ビビット」は問題を扱わなかった。

 あるテレビ関係者は、元SMAPの三人のメディアを巡る異常な状況を証言した。「独立して一年くらいは、民放キー局の制作現場で『あの三人の名前は絶対に出すな』と言われていた」と振り返る。元SMAPの三人が出演した映画などが公開されると、芸能情報を扱う雑誌の出版社にジャニーズ事務所から「まさか、特集は組まないですよね」と電話がかかってきたという。

 この関係者は「こうした実態は関係者はみんな知っていたことだが、今回は視聴者にも伝わったことが大きい」と指摘。「昭和の時代はどの事務所でも抜けたら干されることは当たり前だったが、令和になってもジャニーズは極端なことをやっている。経営陣があまりにも長い間変わらず、会社の体質を変えるタイミングを逃したのではないか」とみる。

 「芸能人の権利を守る日本エンターテイナーライツ協会」共同代表理事の佐藤大和弁護士は、今回の公取委の注意を「芸能界が変わる大きなきっかけとなる一歩だ」と評価する。「芸能界はブラックボックスになっていて、これまで行政が切り込んでこなかった。今回の注意は、監視を強化していく意志の表れなのではないか」と話す。

 一方、テレビ局側の問題も指摘する。「事務所側が変わったとしても、テレビ局が過剰な忖度(そんたく)をすると芸能人の自由な活動や競争が阻害される。今回のテレビ局の動きを見ると歯切れの悪さを感じるが、テレビ業界も変わらなければいけないと思う」と語った。

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◆出演依頼、局上層部につぶされた のんマネジメント会社社長が証言

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 ジャニーズ事務所に公正取引委員会が注意したと報道されると、インターネット上では元SMAPの三人以外にも芸能人の名前が挙がった。人気を博しながら、所属事務所との契約問題が起きて独立して以来、テレビからほぼ消えてしまった女優のん(本名・能年玲奈)だ。のんの個人事務所と提携し、二〇一六年七月からマネジメントを請け負う会社「スピーディ」の福田淳社長(53)=写真=が旧態依然の芸能界の体質を証言した。

 福田社長によると、マネジメントを始めてから、テレビ局の若手からはのんに多くの企画や脚本が持ち込まれたが、どれも局の上司や役員に突然つぶされることが続いたという。かつての事務所からの圧力なのか、局側が忖度したのかは定かではないが、この三年間、民放地上波でのんが出演したドラマはゼロ。「あまりにも異常だ」と福田社長。

 日本のテレビが低迷傾向にあるといわれるが、その原因の一つに、こうした不明瞭な商慣行を挙げる。「どんな産業も、マーケット(市場)を離れた瞬間にダメになる。民意がちっとも反映されない業界はやっぱり廃れますよ」。その上で「今回のこと(ジャニーズ事務所への注意)で『よし、変わろう』と思ってくれる、勇気あるテレビ局の幹部がきちんとした判断でキャスティングをすることを望みます」と語った。

 芸能界について「能年玲奈のような事案を今後作らないような業界であってほしい。才能ある人が健全な競争の中で頭角を現せるような業界であるべきだ」と期待を込めた。

 

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