東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 放送芸能 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【放送芸能】

盆踊り今や…「BON DANCE!」 DJ KOO「言葉なくても分かり合える」

ゲリラ撮影でDJ KOO(中央左)と孝藤右近(同右)の周りに集まったルワンダの人々=アフリカ盆踊り実行委員会提供

写真

 炭坑節、東京音頭などがポピュラーだった盆踊りが「BON DANCE」に変容している。Jポップや洋楽に日本舞踊家らが振り付け、ディスコ感覚のイベントで若い世代も楽しむ時代になった。クールジャパンのホットな踊りはインターネットで発信されるや、地球のあちらこちらで愛好者が増殖しているという。令和元年の夏、先祖の霊をしのぶ「盆踊り」はどのように受け継がれているのか−。 (酒井健)

盆踊りを紹介するDJ KOO

写真

 ■@KANDA MYOJIN(神田明神)

「BON DISCO」を楽しむ人たち=東京都千代田区の神田明神で

写真

 「日本の盆踊りは、世界の人が笑顔になって踊ってくれます!」

 7月下旬の東京・神田明神。境内に設置されたやぐらに上がった往年の人気ダンス&ボーカルグループ「TRF」のメンバー、DJ KOO(コー)(57)の声が響く。レコード会社の催しで、屋外会場は参加自由。若い世代や外国人も思い思いに踊っていた。「懐かしいKOOさんを見て足を止めた」という近所の40代の女性は、夫と4歳になる長男と一緒に盆踊りに挑戦。「気楽な雰囲気で楽しかった」と笑顔を見せた。

 「盆踊りはだいたい、16小節の繰り返し。そこを覚えれば、ずっと踊り続けることができる」とKOO。「浴衣やTシャツで、ラフな感じで楽しめる。すてきじゃないですか」と魅力を語る。

 会場では、西城秀樹のカバーでも親しまれた米国のグループ「ビレッジ・ピープル」の「Y.M.C.A.」をレクチャー。炭坑節の石炭を担いでトロッコを押す振り付けで踊り、サビで有名な「YMCA」のポーズが入る。「みんなが知っていて、一つになって盛り上がれる曲がいいですね」とKOO。

 ■@AFRICA(アフリカ)

 数年前から「BON DISCO」などと銘打って、盆踊りを若い世代も楽しめるように仕掛けるKOO。今夏はJICA(国際協力機構)などと協力し、美空ひばりの名曲「川の流れのように」をアレンジした“アフリカ盆踊り”を手掛けた。南アフリカ共和国とルワンダの2カ国3都市に出向き、現地の人々と踊りに興じた。

 その様子を収め、「BON for AFRICA」と題した映像が動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開された。今月27日には、横浜市みなとみらい地区で開かれる「アフリカ開発会議」(28〜30日)の前夜祭で実演する。誰でも参加できる。

 撮影に協力したルワンダ人芸術家のパシフィック(27)は、1990年代のルワンダ虐殺で孤児になり、芸術家に引き取られ育った。今は自身が芸術家となり、孤児らにダンスや太鼓を教えている。こうした子どもたちも撮影に参加した。KOOは「孤児といっても、みんな明るい。生き生きして純粋で、本当に印象的だった」と振り返った。パシフィックは「音楽や芸術は万国共通。特別な時間を過ごせた。今後も同じような機会が持てれば」とコメントを寄せた。

 ■気軽にレッツBON!

 盆踊りを普及させ、地域活性化を目指す「日本盆踊り協会」(東京都豊島区)の顧問で舞踊家の鳳蝶美成(あげはびじょう)(37)によると、盆踊り向けに現代の楽曲のアレンジが加速したのはここ数年といい「若者に門戸を広げたいという気持ちが、関係者に強い」と分析する。自身も洋楽ロックに振り付けを施して話題を集めた。「盆踊りは簡単で、誰でも気軽に親しめる。日本の民族舞踊としての位置づけを確立したい」と意気込む。

 昨年はフランスと台湾で盆踊りを紹介したというKOOは「浴衣やうちわ、独特の手の動きなどに、海外の人も日本の文化を感じてくれるのでは。言葉が通じなくても、音と踊りで分かり合える」と海外発信へ夢を膨らませている。

盆踊りとディスコをミックスさせた「BON DISCO」=東京都千代田区の神田明神で

写真

◆創作日本舞踊家・孝藤右近 振り付け「思い切って」

「東京盆踊り2020」から (C)COOL JAPAN TV

写真

 「BON for AFRICA」の振り付けを担当したのが、創作日本舞踊家の孝藤右近(たかふじうこん)(41)。二〇一七年秋、マレーシアの人気タレントが出演して話題となった「東京盆踊り2020」が大ヒットし、盆踊りの世界発信の立役者として勢いに乗っている。

 ユーチューブで公開された「東京盆踊り」では、マレーシアの人気者ネームウィー(黄明志)が、東京を訪れた外国人観光客役で主演。登場する女性たちが招き猫のような振りも交えて踊るコミカルな作品だ。再生回数は今年七月までに、六千万回を超えた。

 右近は、金沢市を拠点に活動する「孝藤流」の二代目。「盆踊りの伝統を崩す抵抗感」から、猫の振りは当初、一場面だけにした。しかし、家元である母から「相手は世界の人たち。思い込みにとらわれず、みんなが楽しめるように」と励まされ、思い切った振り付けを施した作品に仕上げたという。

 今回の“アフリカ盆踊り”は、娯楽にとどまらず、国際貢献の役割もある。動画の広告収益は、アフリカ孤児支援の団体に寄付する。「川の流れのように」を選んだことについて「祖母の代から親しまれてきたひばりさん。日本を代表して『この曲でどうや!』という気持ちだった」と明かす。

 振り付けは、アフリカの人でも踊りやすいように、ロケの終盤まで改良を重ねたという。「いい曲に触れると、人間の体は自然に動く。その動きをより自然に、心地よい形に導く」。それが振り付けの妙味だと考えている。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報