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【放送芸能】

首相官邸を舞台に三谷ワールド全開 映画「記憶にございません!」

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 ヒットメーカーの三谷幸喜=写真=が監督と脚本を手掛けた映画「記憶にございません!」(公開中)は、「最高権力者の日常を描いてみたい」と10年以上温めていた企画という。国民から嫌われている首相を主人公に、官邸で繰り広げられる人間模様をユーモアたっぷりに描き出した。4年ぶり8本目の監督作品も痛快な三谷ワールド全開の仕上がりだ。 (古谷祥子)

 “史上最悪の総理大臣”とやゆされる主人公の黒田(中井貴一)が、民衆に石を投げ付けられ記憶喪失となる。国政の混乱を避けるため、何事もなかったかのように装うのだが、腹黒い官房長官(草刈正雄)や側近と浮気している妻(石田ゆり子)、怪しいフリーライター(佐藤浩市)らが入り乱れ、次々ピンチが訪れる。

 自作は「リアルとアンリアルの間に存在している感じ」。その定義が「靴の有無」という。家の中で靴下やスリッパをはいた描写は「生々しすぎて嫌」だとか。創作に米国作品の影響を強く受け「やってることは『奥さまは魔女』のようなホームコメディー。靴下をはいていたらしっくりこない」と説明する。

 本作の企画は個性的な登場人物に小ネタをちりばめる。かつて“省エネルック”と推奨された半袖半ズボンスーツ姿の閣僚がいたり、そもそも表題がロッキード事件をほうふつさせたり。現実の事象を取り込んではいるが、社会や政治を風刺する意図はない。官邸や国の施設には国旗の代わりに、ライオンやペンギンの置物が鎮座する。「現実とは違う、パラレルワールドだというアピール」

 時代性を映さない作風を批判されたこともあったが、それを信念として貫く。米映画「スミス都へ行く」(一九三九年)を挙げ「政治そのものへの理想がテーマだから、違う時代の人間が見ても感動する」。二十年以上前に脚本を手掛けたテレビドラマ「王様のレストラン」も、時代描写がないことが長く支持されている要因だと考える。「五十年前の外国作品をいまだに見ているように、百年後の人にも見てもらえるものを作らないといけない思いがある」

 ※TOHOシネマズ日比谷ほかで上映中。

<みたに・こうき> 1961年、東京都生まれ。日本大芸術学部在学中の83年、劇団「東京サンシャインボーイズ」を結成。舞台、テレビ、映画の脚本、演出を幅広く手掛ける。代表作にドラマ「古畑任三郎」、NHK大河ドラマ「新選組!」「真田丸」、映画「ラヂオの時間」「THE 有頂天ホテル」など。

 

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