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【放送芸能】

「おかあさんといっしょ」世代超えて愛され60年 体操や背景色 幼児教育の専門家交え製作

現在放映中の人形劇「ガラピコぷ〜」

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 NHKEテレの2〜4歳児向け番組「おかあさんといっしょ」(月−土曜、午前8時)が10月、放送開始から60周年を迎える。子ども→親→その親と、世代をまたいで愛されてきた国民的な幼児番組の歴史と、支える人の思いに迫った。 (原田晋也)

 8月、60周年を記念したスペシャル番組が放送された。歴代の歌と体操のお兄さんやお姉さんがゲスト出演し、「にこにこぷん」など懐かしい過去の人形劇の映像も登場。NHKには「子どもの時に見ていた番組を、今度は自分の子どもと見ているのがすごく感慨深い」「親から『あなたはこの歌が好きだったんだよ』というメールが届いた」といった声が多く寄せられたという。

 番組の中原美和チーフプロデューサー(44)はこの反響に「世代をまたいで愛されている番組だと制作側も実感した。人生のある時期に何度か出会い、子どもの成長や家族の思い出に寄り添っていける貴重な番組なんだなと感じた」と感慨深げに話す。

「からだ☆ダンダン」を担当している秋元杏月(左)と福尾誠

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 1959(昭和34)年の開始当初は、週1回の放送で「母親向けの実用番組」という位置付けだった。翌年から月−土曜の午前10時5分からの帯番組となり、66年に歌と体操の要素が入った別番組「うたのえほん」と統合し、現在の要素がそろった。

 当時の対象年齢は4〜6歳だったが、70年代になると幼稚園に通う子どもが増え、放送時間に対象の子どもが家にいないという事態に。再編の必要性が高まり、79年、NHKが中心となって「2歳児テレビ番組研究会」を発足させた。心理学や教育工学の研究者が多く関わっていた米国の幼児番組「セサミストリート」を参考に、多くの専門家を交えた番組づくりが始まった。

 その結果、幼児が集中して番組を見ていられるのは2〜3分だということがわかり、さまざまなコーナーを区切って放送する「セグメント形式」を導入。情報量が多くなりすぎないようアニメーションのキャラクターの背景を白一色にするなど、研究の成果は現在の番組づくりにも受け継がれている。

 長寿番組だけにずっと変わらないと思われがちだが、新しいコーナーや体操を開発する時は必ず幼児教育の専門家に取材し、時代に合った内容にしているという。例えば、現在の体操「からだ☆ダンダン」では、和式便器が少なくなって日常でしゃがむ動作が少なくなっていることから、体操にしゃがむ動きを取り入れた。

 共働きの家庭が増え、「朝の忙しい時間帯に子どもが楽しんで見てくれるのは助かる」という声がある一方、子どもにテレビを見せっぱなしにしていることに悩みを感じる意見も寄せられる。土曜のコーナー「あ・そ・ぎゅ〜」は、「そのコーナーの間だけでも一緒に触れ合って体操してみませんか」というコンセプトで、親が子どもを抱えるなどの動きを多く取り入れている。

 中原プロデューサーは「今の子どもたちが将来、自分の子どもに薦めてもらえるような番組になるために、常に子どもに対して真摯(しんし)に、丁寧につくってきた精神を受け継いでいきたい」と決意を新たにしている。

◆7代目「歌のお兄さん」坂田おさむに聞く

「おかあさんといっしょ」への思いを語る坂田おさむ=東京都港区で

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 「おかあさんといっしょ」には歌が欠かせない。番組を見ていた人なら、今も口ずさめる楽曲がいくつかあるはずだ。七代目「歌のお兄さん」として一九八五年から八年間出演し、卒業後も番組に多数の楽曲を提供してきたシンガー・ソングライター坂田おさむ(66)に聞いた。

 −どんな八年間だった?

 無我夢中でした。もともとロックやフォークをやっていて、専門的な音楽の素養があるわけではないので、最初は劣等感やプレッシャーがありました。ある時、スタジオに来てくれた三歳くらいの女の子が本番前に「おさむお兄さんのこと、好きよ」と言ってくれて。「僕でもいいんだ」と思うようになりました。卒業後は、お世話になった番組へのお礼のつもりで、曲をつくって持っていくようになりました。

 −番組で登場する歌は子どもだけでなく、親や祖父母までさまざまな世代に親しまれている。

 本当にありがたいことだと思います。自分が子どものころは童謡はあっても、番組でやっているような子ども向けの曲はあまりなかった。こういう曲があったら子どもの自分は喜んだだろうな、という思いがいつも基本にあります。

 子どものころに番組を見て覚えて、すぐに忘れてしまったけれど、大人になって自分の子どものベビーカーを押しながら、ふと空を見た時にどこからかやってくる遠い記憶の歌。そんな歌をつくっていきたいです。これからも体の続く限り、子どもたちと一緒に歌っていきたいですね。

 −今後の番組に望むことは。

 歌の曲調などは変わっていくと思いますが、根底に流れる「子どもたちが楽しい毎日を健康に送れるように」という姿勢をそのまま続けていってほしい。奇をてらわず愚直にそこを守ってきたから、今まで続いてきたんだと思います。

<坂田おさむが番組に提供した主な楽曲>「どんな色がすき」「はるのかぜ」「夢のパレード」「ぼくらのロコモーション」「公園にいきましょう」「にじのむこうに」「タンポポ団にはいろう!!」「わっしょい」「ヤッホ・ホー」「とんでもトン吉」「風のおはなし」「しろいともだち」「ぴぴハピー」「夢の中のダンス」「あしたははれる」「ありがとうの花」「みんなだれかがすきになる」「メダルあげます」「やくそくハーイ!」「ワン・ツー・スリー!」

◆歴代の「お兄さん」水木一郎も

 「お兄さん」「お姉さん」には、こんな人たちが出演した。「歌のお兄さん」は初代が田中星児(1971〜77)。「アニメソング界の帝王」水木一郎(76〜79)、横山だいすけ(2008〜17)らが名を連ねた。「歌のお姉さん」では「だんご3兄弟」がヒットした茂森あゆみ(93〜99)、はいだしょうこ(2003〜08)らが活躍。現在の小野あつこ(16〜)は21代目。

 「体操のお兄さん」は、砂川啓介(61〜69)が初代。佐藤弘道(93〜2005)、小林よしひさ(05〜19)ら。現在の福尾誠(19〜)は12代目。「体操のお姉さん」は現在の秋元杏月(あづき)(19〜)が初代。1981年から「身体表現のお姉さん」が出演、上原りさ(2012〜19)らが務めた。

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 ※年に一度の番組のベストアルバム「最新ベスト ミライクルクル」が10月16日に発売される。現在の体操「からだ☆ダンダン」も収録されている。また、歴代12人の歌のお兄さん・お姉さんの歌を収めた60周年記念の3枚組みCD「おかあさんといっしょ スペシャル60セレクション」=写真=も同時発売される。

 

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