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【放送芸能】

ヤング・ギター 時代に応え創刊50年 ギター好きの必読書

創刊号(右上)から今年7月の50周年特別増大号(右下)まで、その時々の表紙をあしらったページ

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 ギター専門の月刊誌「ヤング・ギター」(YG、シンコーミュージック・エンタテイメント刊)が今年、創刊五十周年を迎えた。洋楽ロックを中心に扱って久しいが、ギターが世の中に浸透してきた一九六〇年代、時代のニーズに合わせるように誕生し、その時々のギター事情を伝えてきた。プロのギタリストも注目するYGのこれまで、そしてこれからは−。 (山岸利行)

「ヤング・ギター」の上田慎也編集長=東京都千代田区で

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 初心者向け、中・上級者向けなど、さまざまなギター誌がある中で、YGはある程度の腕前の読者を対象にしてきた。出版不況、趣味の多様化などにより、休刊や廃刊に追い込まれるギター誌もある中、YGはロックギターのトレンドを網羅してきた。

 とはいえ、一九六九年五月の創刊号には「ブルー・ライト・ヨコハマ」(いしだあゆみ)、「年上の女(ひと)」(森進一)など、当時の流行歌の譜面とともにギターのコード進行表が掲載されており、意外性も感じられる。

 コード進行表がついたこうした譜面こそ、YGの売り物。「譜面を正確に載せることを最優先に考えている。ギターを弾く際の実用書なのです」と上田慎也編集長(46)。七〇年代のフォーク全盛時代は、吉田拓郎、井上陽水、かぐや姫といった国内アーティストを取り上げることが多かったが、七八年に米国のロックバンド、ヴァン・ヘイレンが登場したことで編集の在り方が変わった。

◆ヴァン・ヘイレン登場で刷新

「ヤング・ギター」の編集の在り方を変えたヴァン・ヘイレンのギター、エドワード・ヴァン・ヘイレン=2013年6月、愛知県体育館で

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 「(ギタリストのエドワード・ヴァン・ヘイレンの)そのエレキは衝撃的。どうやって弾いているのかわからなかった」という。華麗でしびれるような、その「ライトハンド奏法」という弾き方が広まり、八〇年代以降のYGはハードロックやヘビーメタル系が中心となった。複雑な演奏の場合、アーティスト本人に弾いてもらい、それをビデオ収録。そこから譜面化したという。

 その後ニーズも変わってきているという。「八〇〜九〇年代前半はコピーの時代で、いかに似せるかを楽しんでいたが、今はオリジナリティーを求める時代。ギターの技術を向上させたいのはみんな同じで、その中でどうやってYGとしての特異性を出していくかが大切」と上田編集長。五十年続いてきた理由を「時代のニーズに応えてきたからではないか」と分析するが、アーティスト自身がユーチューブなどで演奏方法を公開していることには「太刀打ちできない」と断言。「われわれとしては、ギターがうまくなりたい人のための企画をこれからも考えていきたい」

◆フォークブームでギター熱

日本でエレキブームを起こした寺内タケシ=1990年代

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 日本でギターが市民権を得るようになったのは1960年代。ベンチャーズ、ビートルズなどのヒット曲とともに、そのサウンドが広く普及するようになった。62年結成の「寺内タケシとブルージーンズ」がエレキブームを巻き起こし、65年には加山雄三主演の映画「エレキの若大将」も公開された。

 その後、岡林信康らが登場、フォークギター人気にも火がつき、70年代には吉田拓郎、井上陽水らがスターダムを駆け上がった。「ヤマハポピュラーソングコンテスト(ポプコン)」も盛況になり、ギターを弾きながら歌った中島みゆき、長渕剛らがブレークした。ギターは若者を中心に、音楽文化に欠かせないアイテムとなっていった。

 では、ギターの需要はどう変化してきたのか。

 一例として、ギターメーカーが多く集まる静岡県楽器製造協会のデータをみると、ギターの国内向け出荷高は別表の通り。

 70〜80年代前半は20万本台だったのが、その後、10万本を下回り、90年代後半に10万本を上回った後は4万〜7万本台を推移している。フォークブームだったころに需要が高まっていたことがうかがえる。

 最近のギター需要について、東京都内のある楽器店では「本数でみると10年前に比べると1〜2割ほど減っている感じがするが、金額ベースでは右肩上がり」という。「70〜80年代にロックファンだった人が50代、60代になり、お金に余裕ができて40万〜50万円のギターを購入していくことも珍しくない」というのがその理由。

 趣味の多様化が進み、若者の間では以前ほど広く普及している感じはしないというが、「ギターをやっている人は本気。今の若者はやることを絞っているのでは」とみている。

◆「テクニック至上主義」 グランロデオのギタリストe−ZUKA

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 日本武道館などで公演を行っている音楽ユニット、グランロデオのギタリスト、e−ZUKA=飯塚昌明(52)、写真=は中学生のころから「ヤング・ギター」を読みはじめ、今も「発売日が待ち遠しい」ほどの愛読者。

 物心ついた時から家にあったガットギターを弾き始め、小学六年の時に米ロックバンド、KISS(キッス)が来日。KISSのコピーをするうちにエレキが好きになったという。そのころ、ヴァン・ヘイレンがデビュー。「音とギタープレイの派手さに衝撃を受けた」

 高校卒業後、音楽の専門学校に進んだが、「先生よりうまいのでは」といわれるほどの腕前だった。その後、ミュージシャンの付き人などを経験し、長渕剛のツアーに参加したり、あがた森魚(もりお)のバックミュージシャンとして活動するなどしてきた。

 YGについては「テクニック至上主義。いち早く細かく弾き方を教えてくれる。学んだ部分はたくさんある」と評価し、「ある時から譜面の精度も上がってきた」という。「譜面を切り取ってスクラップブックに貼り付けたり、付録のDVDやCDもよく見たり聴いたりしてました」とも。最近では、「僕が知らないような若いアーティストのインタビューや写真、譜面を見るのも楽しみ」と語る。

 ギターを弾き続けるモチベーションは「いろんなギタリストへのあこがれ」だといい、「それをかなえられないからやっている」。ニュアンスやサウンドをイメージ通り自由に弾けるのが理想だという。

 ギターの上達法は? 「うまくなりたいと思って弾くしかないと思う。あとは楽しむことが大切」

 

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