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【放送芸能】

毒蝮三太夫 ラジオ生放送50年 「マムシの毒」は良薬!?

生放送で高齢者に語りかける毒蝮三太夫=東京都千代田区で

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 「ババァ、まだ生きてたか!」。タレント毒蝮三太夫(83)が各地に出向き、集まった高齢者らを相手に過激な爆笑トークを繰り広げるTBSラジオの生放送「ミュージックプレゼント」が今月、放送開始から50周年を迎えた。口は悪いが気配りに満ちた“マムシの毒”はジジィやババァの活力となり、高齢化社会のコミュニケーションのヒントにもなる。半世紀続く話術の極意は−。 (藤浪繁雄)

 9月20日の中継は、東京・内神田の「野菜居酒屋 玄気」から。店の常連客やマムシファンら約30人を前に「汚(きた)ねえ店だな、ババァもいるよ」と毒づく。反感を買うどころか、笑いのトーンが高まる。いじられた93歳の女性の昔話に耳を傾け、思い出を引き出す。「面と面をきちんと合わせて話せば、気持ちが伝わるんだよ」。陽気な中にも和やかな空気が漂った。

 「ミュージック−」は「金曜たまむすび」(午後1時)のコーナーとして、午後2時から放送。昨春から週1回となったが、1969年10月のスタート時からその大半は、月−金曜午前10時半ごろに開始。首都圏のスーパー、商店、工場などを訪ねて回り、11日で通算1万3001回。高齢者らと交わすにぎやかなトークは健在だ。

2004年9月、埼玉県入間市のスーパーで行われた「ミュージックプレゼント」

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 「平日午前中の中継だったから、集まってきたのが年寄りばっかり。たまたまババァに特化したんだよ」と振り返る一方で、「オレは(口が達者な)ババァたちとワイワイしゃべるの嫌いじゃないしな」と語る。「くたばり損ない!」などと毒を浴びせても、高齢者が寄ってくる不思議な芸風に「ある意味オレの知性かな」と笑う。

 自身の話術の妙をそのように語るが、厳密なルールがある。ジジィ、ババァの前に絶対に「クソ」と付けない。「まだ生きてるのか!」と言い放ったら、「お迎えが来ても追い払えよ」とまめにフォローする。絶妙なコミュニケーション術は「柄は悪いけど、品性がある」と歌手の美輪明宏から称賛されたという。

 二十数分の本番後はミニ説法。「自分で歩けよ。健康寿命を伸ばそう。介護保険の世話にならない年寄りになろう」と優しく諭すように、生き方や心の持ちようなどを語りかける。

 変わらないスタイルで放送を続けてきたが、最近「ギスギスした時代になったな」と感じる。「言いたい放題が言いにくい。寛容ってのがなくなってきたように思う」と憂える。自身も83歳のジジィになり、大病も経験し、健康には人一倍神経を注ぐ。「いくつまでできるか分からないが、まだ頑張るよ。元気な年寄り、特に元気なジジィを増やしたいんだ」と気迫をみなぎらせた。

1977年4月、東京都品川区の商店街から

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<どくまむし・さんだゆう> 本名・石井伊吉(いよし)。1936年、東京出身(品川生まれの浅草育ち)。12歳から劇団で活躍。60年代後半はテレビドラマ「ウルトラマン」の隊員役を演じ、「笑点」の座布団運びも務めた。本名で活動していたが、親しかった落語家立川談志が「毒蝮」と名付けた。千葉・聖徳(せいとく)大学客員教授。福祉関連の著書やテレビの福祉番組の出演も多い。

 

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