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【放送芸能】

原作者・吉田修一、口も出します 映画「楽園」あす公開

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 芥川賞作家の吉田修一(51)の短編二作をもとにした映画「楽園」(瀬々敬久(せぜたかひさ)監督)が十八日に公開される。これまで、「悪人」「怒り」といった小説が映像化されてきた。「映画が好きなんですよ」と話す吉田に原作者として、映画化されることへの思いを聞いた。 (竹島勇)

 純文学も大衆小説も書き、ファンも多い吉田。自身のウェブサイトによれば一九九七年のデビュー作から今年発表の「逃亡小説集」まで、エッセーを含めた三十九冊のうち十一作が映画を中心に映像化されている。「悪人」では李相日(リサンイル)監督と共同脚本も手掛けた。

 「楽園」は「犯罪小説集」(角川文庫)所収の「青田(あおたの)Y字路」と「万屋(よろずや)善次郎」が原作。この映画化を認めたのは「『ヘヴンズストーリー』(二〇一〇年)はじめ瀬々監督への信頼が大きい」という。その瀬々監督は「人物たちが特別に異常なのではなく、読者の地続きにいるその目線が的確。現代の日本に生きる人々の世界をしっかりと掴(つか)んでいる」とコメントする。

 「楽園」の舞台は閉塞(へいそく)感に包まれた地方都市。十二年前の少女失踪は未解決のまま。一部住民から犯人視されている孤独な青年豪士(たけし)(綾野剛)、少女と直前まで一緒にいた親友で罪の意識を抱えながら成長した紡(つむぎ)(杉咲花)は心を通わせる。ある夜、同じ場所で新たに少女が失踪し興奮した住民は豪士を追う。一方、同じ町に住む善次郎(佐藤浩市)は愛犬と暮らしていたが、ささいなことから周囲から冷酷な仲間外れに遭い、大きく運命が変わってしまう。

 「映画は監督のもの」と捉える吉田だが、製作途中で見解は伝えるという。「小説は作家一人だが、映画はさまざまな人のアイデアで成り立つと実感し、それが楽しかった」と話す。「『原作者として』という目線でなく、一スタッフがアイデアを出す感じで言わせてもらってます」

 「『楽園』では、豪士と紡が買い物に行くシーンでは店主が豪士にきつくあたる設定だったが、『この町にも彼に優しく接する人がいるのが自然』と言って優しくしてもらった。提案が却下されることももちろんあります」と明かす。

 撮影現場には短くても必ず顔を出す。瀬々演出に「ある一瞬のシーンで、人々の生きる永遠の営みを表現したんですよ。すごいなあと。満足です」と話した。

<よしだ・しゅういち> 1968年長崎市出身。97年「最後の息子」で文学界新人賞を受賞し、作家デビュー。2002年「パーク・ライフ」で芥川賞。今年、小説「国宝」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。「パレード」「悪人」「横道世之介」「怒り」などが映画化された。

映画「楽園」から。綾野剛(左)と杉咲花

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