東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 放送芸能 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【放送芸能】

放送業界の未来は? 日本女性放送者懇50周年でシンポ

シンポジウムで経験を語る登壇者たち=東京都内で

写真

 放送業界で働く女性でつくる日本女性放送者懇談会(SJ)の創立50周年を記念したシンポジウムが9日、東京都内で開かれた。いまだ長時間労働がまかり通り、女性進出が遅れている世界で働いてきた女性たちが自らの経験を語り、識者を交え業界の未来を考えた。 (原田晋也)

 「セクハラに遭っても『しょうがないね、あのおじさんたち』と笑って受け流す。それが“できる女”だと言われた時代で、そうやってきた」。テレビ朝日系の報道番組「サンデーステーション」(日曜午後四時三十分)の長野智子キャスターは、こう振り返った。

 長野キャスターは一九八五年、フジテレビにアナウンサーとして入社。化粧っ気がない日は「彼氏とお泊まりだったんでしょう」。ノースリーブの服を着ていると二の腕をつかまれて「おはよう」−。当時は「ボディータッチから言葉まで、セクハラのオンパレードだった」。新人として最初の仕事は、男性アナのコーヒーとお茶の好みを暗記して出すことだったという。

 昨年の福田淳一元財務次官によるテレビ朝日の女性記者へのセクハラ問題で、認識の甘さを指摘された福田氏が「今はそういう時代だったのか」と語ったのを聞いて「暗たんたる気持ちになった」という。「私たちが受け流してきてしまったツケで、こういう男性をつくってしまったのかな」と後悔を口にした。

 NHKエデュケーショナルの熊田佳代子シニアプロデューサーは、女性と中絶をテーマにした番組を担当した経験を紹介した。女性ディレクターの「ジェンダー差別など以前に、中絶をした女性があまりにもケアされていない。どうしてこんな重い出来事が放送されていないのか」という問題意識から制作した。

 番組はEテレで放送され、女性から大きな反響を呼んだ。熊田プロデューサーは「男性は一生懸命理解しようとは思うが、恐らく体の痛みまでは理解できない。こういう番組を作っていくためにも女性の視点は大切ではないか」と語った。現在は男性と女性の視点の違いを尊重した番組作りを心掛けているという。

 上智大の水島宏明教授(ジャーナリズム論)は「男性は空気を読み、会社組織などの論理で物事を考えがちだが、女性は『ジャーナリズムとしてこれはやる意味がある』などとストレートに考える人が多い」と指摘。「ネットが発達し、電波の放送だけではやっていけない多様化の時代が来ている中で、女性の視点や感受性、考え方をどう取り込んでいくかは極めて大事だ」と述べた。

      ◇

 民放で働く女性たちによる日本民間放送労働組合連合会(民放労連)女性協議会は十四日、在京テレビ各局の女性比率の調査結果を発表した。女性は全社員の約23%、役員の約5%を占めたが、報道や制作部門のトップはゼロだった。

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報