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【放送芸能】

無声映画はライブパフォーマンス あす公開 「カツベン」周防正行監督

映画「カツベン!」への思いを語る周防正行監督=東京都中央区で

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 無声映画の上映時に内容を解説したり、せりふを語ったりする活動弁士の世界を描いた映画「カツベン!」が十三日、公開される。周防(すお)正行監督は「サイレント映画といいながら、映画館は活動弁士の声や楽士の奏でる音楽、観客の掛け声のあふれるライブパフォーマンスの魅力にあふれていた場だと気づいた」と語る。「驚き」が新作のきっかけだったという。 (竹島勇)

 百年ほど前、無声映画(活動写真)を上映している画面の脇で、活動弁士は観客に向けて語りや状況説明で盛り上げた。当時は人気弁士が何人もいて、それぞれ羽織はかまやフロックコート姿で登場。一九一七年の米映画「南方の判事」のラストで、弁士のフレーズ「春や春、春南方のローマンス」が流行語になるなど、大衆に親しまれた存在だった。現在は沢登翠(さわとみどり)をはじめ、片岡一郎、山崎バニラ、坂本頼光ら十数人のプロが活躍している。

 「カツベン!」は、活動弁士を志す青年・俊太郎(成田凌)が主人公の群像劇。個性的な弁士(永瀬正敏、高良健吾)や監督(山本耕史ら)、女優を夢見る初恋の女性(黒島結菜(ゆいな))らが登場。俊太郎の命を狙う泥棒が立ち回るなど、あえて無声映画の活劇風に描いていて、「映画館で家族で楽しめるエンターテインメント作品にした」と周防監督は工夫の妙を語る。現役の活動弁士から七五調の語りなどを指導された成田らの語りぶりに注目。井上真央、竹野内豊らが共演する。

 「それでもボクはやってない」(二〇〇七年)、「舞妓(まいこ)はレディ」(一四年)などの周防作品で助監督を務めた片島章三が二十年来温めてきた企画。五年ほど前に脚本を見せられた周防監督が面白がったのがきっかけだ。片島が脚本を手掛けた。周防監督が自作以外の脚本を映画化するのは初めてだ。

 周防監督は「若いころ、無声映画を見て、活動弁士は邪魔なものくらいに思っていたが、今回調べてみて全く違うことに気づいた。活動弁士はいかに無声映画を楽しく見せるかを語りで工夫していた。監督も楽士の演奏と活動弁士の語りが付いて上映されることを前提に映像作りをしていた。むしろ静かに観賞していた自分が邪道だったとさえ思った」と笑う。

 落語、講談、浪曲など日本の語り芸の系譜の中に活動弁士もあると周防監督は受け止めている。「古舘伊知郎さんが注目したプロレス中継のアナウンスも同じ。自分も語りを勉強しているうちに浪曲好きになった。日本に語り芸は続いていくと思う」と強調する。

作品内の無声映画上映シーン、活動弁士の俊太郎を演じる成田凌

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