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【放送芸能】

三谷幸喜、パルコ劇場に「恩返し」 渋谷、あす新装オープン

客席からパルコ劇場への思いを語る三谷幸喜=いずれも東京都渋谷区で

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 独特の舞台文化を発信してきた東京・渋谷のパルコ劇場が約三年半の建て替え工事を経て、二十四日に新装オープンする。一九七三年に開場以来、斬新で独創的な作品を上演し、多くの「パルコ劇場ファン」も生みだした。九四年から数々の名作を手掛けてきた劇作家で演出家の三谷幸喜(58)は、ここでの観劇を機に喜劇を「一生の仕事」と志したという。「育ててもらった恩義を返す」と力を込める。 (竹島勇)

 七九年、パルコ九階の西武劇場(後のパルコ劇場)で、故福田陽一郎の演出で上演された米の喜劇作家ニール・サイモンの名作「おかしな二人」を見ながら笑い転げる観客の中に三谷もいた。日大芸術学部演劇学科に進学した三谷は新劇などを見て回ったが、「面白さが分からなかった」。しかし「おかしな−」では、杉浦直樹や石立鉄男らの軽妙なせりふのやりとりに触れ、温かみあふれる米喜劇映画を思わせる作風に「自分はこういう喜劇を作っていきたい」と決意した。

 福田は都会的でしゃれた「SHOW GIRL」を手掛け、木の実ナナと細川俊之の主演で七四年から八八年まで上演。三谷は福田への尊敬の念も込め、「三谷版ショーガール」を作り、二〇一四年に初演。今夏も上演する。

「パルコ劇場のオープニングシリーズ」記者会見に顔をそろえた舞台関係者ら

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 三谷は「渋谷は若者の街といわれますが、ぼくにとっての渋谷は西武劇場、パルコ劇場。だから大人の街であり続けてきました」と語る。九五年の斉藤由貴や佐藤慶らが出演した「君となら」で、自分なりの喜劇ができたという思いが初めて持てた。ほかに「温水(ぬくみず)夫妻」「マトリョーシカ」といった喜劇のほか「パルコ歌舞伎 決闘!高田馬場」や三谷文楽「其礼成心中(それなりしんじゅう)」といった伝統芸能と融合した作品なども発表した。

 三谷は「映画もテレビの仕事もするが、自分のおおもとは舞台。旧劇場のように愛することができるかは、これからの自分の取り組み方次第だ」と表情を引き締めた。

パルコ劇場の舞台

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◆大震災時も公演続ける

 三谷が劇場の存在意義を深く考えたのが、九年前の東日本大震災だ。作・演出の「国民の映画」を同劇場で上演中だった。余震が続き節電の動きが広がる中、上演を中止する劇場もあったが、三谷と劇場は公演続行を決断した。

 三谷は上演直前、節電のため暗いステージに立ち、犠牲者への追悼の言葉を述べた後、静かに観客に語りかけた。「続けていいのか本当に悩みました。私はこういう時こそ劇場の灯は消してはいけないと思う。お客さまが一人でもいるなら、幕を明けこの時間だけでも舞台に集中してほしい」。演劇人としての覚悟を演劇ファンだけでなく、社会にも示した言葉となった。

2011年、東日本大震災後も上演が続けられた「国民の映画」(撮影阿部章仁)

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<パルコ劇場> 渋谷パルコ8階で開場。458席から636席に客席を増やし、舞台空間も広げた。24日から落語家立川志の輔の「志の輔らくご」でこけら落とし公演がスタート。本格的な演劇は3月13日初日の渡辺謙主演「ピサロ」(4月20日まで)を皮切りに、14作品のオープニング・シリーズを来春まで展開。三谷作品は6〜8月、新作「大地」のほか、「三谷幸喜のショーガール」「三谷文楽 其礼成心中」を連続上演する。

 

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