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【放送芸能】

ドキュメンタリー映画「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」 能登出身、那覇で高校生活を送った少女に密着

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 沖縄テレビのキャスターで、基地問題など生活に根差した数々の番組も手掛けている平良(たいら)いずみ(43)=写真=が監督を務めたドキュメンタリー映画「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」の上映が東京都内で始まる。石川・能登半島の家族の元を離れ、沖縄で多感な高校時代を過ごした少女の目を通し、沖縄の明るさの裏側にある苦しみを描く。平良監督は「沖縄で起こっていることを県外の特に若い世代に伝えたい」と模索してきた。 (中山洋子)

 平良監督は那覇市出身。一九九五年、琉球大学の一年生のときに米軍少女暴行事件があった。当時、TBS系「NEWS23」が沖縄の基地問題を粘り強く報じていて、「そこで多くを知った。私もテレビで分かりやすく伝えたいと思ったんです」。

 だが、基地が集中する痛みや悲しみも、全国ニュースになるのはわずか。本土との温度差に苦悩していたときに出会ったのが、石川県珠洲(すず)市出身の坂本菜の花さん(20)の新聞コラムだ。

 二〇一五年春に那覇市のフリースクール「珊瑚舎(さんごしゃ)スコーレ」高等部に入学した菜の花さんは、卒業までの三年間、故郷の北陸中日新聞でコラム「菜の花の沖縄日記」(後に書籍化)を毎月つづっていた。学校の壁に張られた初回のコラムを読み「まっすぐな言葉を持っている。沖縄に本気で向き合ってくれている、この子に取材したい」と直感した。

 直後に育休に入ったため、実際に密着取材が実現したのは、菜の花さんが三年生になった一七年十月から。併設の夜間中学校に通うおじいおばあや、米軍機事故の被害者らとの交流を通し、菜の花さんは、沖縄戦の深い傷痕や基地を押しつけられている痛みに心を寄せていく。一八年三月の卒業までを追った番組は同年の「地方の時代」映像祭でグランプリを受賞した。

 映画は、卒業後の一年間も加えて再編集。一八年夏に翁長雄志知事が死去、一九年二月の県民投票で辺野古の埋め立てに七割が反対した時期に重なった。「沖縄で起こっていることは政治ではなく、命と暮らしの問題なんです」

 「ちむぐりさ」とは、誰かのことを思い、胸が痛むという意味のウチナーグチ(沖縄の言葉)。沖縄の人々の思いを受け止め、自分のこととして考える菜の花さんに平良監督は「希望」をみている。

 平良監督は放送界で活躍した女性に贈られる「放送ウーマン賞2019」(日本女性放送者懇談会選定)に輝いた。「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」は二十八日、東京・ポレポレ東中野で公開。順次各地で公開される。

フェンスの向こうの米軍施設を見つめる坂本菜の花さん=「ちむぐりさ菜の花の沖縄日記」より(c)沖縄テレビ放送

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 ※公演やイベントなどは、新型コロナウイルスの感染防止のため中止や変更の可能性があります。

 

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