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【放送芸能】

ラジオ深夜便30周年 ゆったりトークで安心お届け

30周年特番で勢ぞろいしたアンカーたち=いずれも東京・渋谷のNHKホールで

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 NHKラジオ第1とFMの人気番組「ラジオ深夜便」が四月、放送開始から三十周年を迎える。ラジオ第1では毎日午後十一時五分から翌朝午前五時まで約六時間(FMは午前一時五分から)、ほぼ生放送で味わい深いトークやセンスのいい音楽などで構成。中高年を中心に寝付けない人、早起きの人らの“友”として定着している。三十年間愛される理由とは−。 (原田晋也)

17日未明のスタジオから。リスナーに話し掛けるように語る松井治伸アナウンサー

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 「毎朝聴いていると、一対一で話しているような気分になることがある。テレビではなかなかこうはいかない」。超早起きを日課としているNHKの前田晃伸会長(75)も四半世紀来のファンといい、十八日の定例会見で、番組の魅力をしみじみと語った。

 番組開始は一九九〇年四月二十八日。当時、民放の深夜ラジオが若者らに根強い人気があり、後発組の「深夜便」は対照的な路線を目指した。NHKアナウンサーのOBやOGをアンカーに起用、穏やかな音楽、落語などを交えたゆったりした番組構成は中高年から大きな反響があった。

 番組当初から変わらないのは「眠くなったらお休みください。お目覚めでしたら、お付き合いください」という姿勢。番組中、リスナーからの便りを読むことはあるが、実は便りや曲のリクエストは募集していない。「いつ自分の便りが読まれるのか、リクエスト曲がかかるのか」と気になって眠れなくなる人への配慮からだ。

 愛され続ける理由について、浦田典明チーフプロデューサー(52)は「先輩たちが口をそろえて言うのが『安心を届けられている』ということ。ゆっくり話す声がみなさんに安心感を与えているのかな」と分析する。課題もある。メディアが多様化し、深夜便を含めたラジオ番組全体の聴取率が下がっている。「より競争は激しくなっていると感じている」と話す。

 新しい層の開拓にも力を入れている。四月からは、子育て世代をターゲットにしたコーナー「ママ☆深夜便」を毎月第四木曜にレギュラー化する。特別にリスナーからお便りと曲のリクエストを募集。寄せられた子育ての悩みや喜びについてゲストが語り、絵本の朗読などもある。

 特番として過去四回放送し、好評だった企画だ。きっかけは、二、三時間おきに授乳のため夜中じゅう起きているという二十代の女性リスナーから届いた「テレビをつけると、私も赤ちゃんもまぶしくて目が覚めてしまうので、ラジオを聴くようになりました」という一通のはがきだった。

 一八年五月の初放送では大きな反響があり、企画した村上里和(さとわ)アナウンサー=写真=は「私自身が初めての赤ちゃんを前に抱いた不安、夜中授乳のために眠れず、社会から取り残されたように思った深い孤独感をリアルに思い出させてくれた」と振り返る。

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 今では多様なリスナーからお便りが届く。子育てを終えた中高年の女性からは「もっとゆったり構えたらいいのよ」といったアドバイスがあり、中高年男性からは「自分はまったく子育てに参加してこなかったが、そんなに悩んでいたなんて知らなかった」というざんげの声も寄せられる。子育て中の父親から悩み相談が来ることもある。

 「世代を超えてリスナーがラジオの中でつながり始めたことを感じている」と村上アナ。「今まで以上に丁寧な番組づくりをしていきたい」

 ◇ 

 三十周年記念特番「ラジオ深夜便のつどい・30周年スペシャル」が、三十日夜から三十一日朝にかけ放送される。歌手の堀内孝雄とシンガー・ソングライターの半崎美子のミニコンサートや、アンカー十六人が思い出を振り返る「アンカーを囲むつどい」などがある。公開録音は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため無観客で行われた。

 

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