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【伝統芸能】

<新かぶき彩時記>「新口村」親子の別れ ちり紙が形見に

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 祖末な紙が形見の品になる? そんな作品が「新口村(にのくちむら)」です。

 大坂の飛脚屋の養子・忠兵衛は、恋人の遊女・梅川の身請けのために公金横領の大罪を犯します。忠兵衛は梅川とともに大坂を落ちのび、故郷である大和(奈良県)の新口村に立ち寄ります。

 冬の山里、一面の雪景色のなか、そろいの黒の衣裳(いしょう)を着た二人の姿が美しい。人目を避けて忠兵衛の知人宅に身を潜めていると、指名手配中の忠兵衛の身を案じながら帰ってくる父・孫右衛門を、窓の外に見つけます。

 薄氷に足をとられた孫右衛門を見て、思わず走り出る梅川。孫右衛門の切れた鼻緒を、梅川が懐紙をよってすげますが、孫右衛門は見ず知らずの梅川に感謝しつつも不思議そう。自ら名乗れない梅川は、自分の上等な懐紙と孫右衛門の祖末なちり紙を交換して、ちり紙を親の形見として忠兵衛に渡そうと思いつきます。

 紙を渡して孫右衛門に見入る梅川の情のこもった表情にも注目。やがて梅川の身の上を察した孫右衛門。しかし、忠兵衛の姿を見れば親が縄をかけねばならない道理を嘆きます。梅川は機転をきかせ、孫右衛門に自らの手ぬぐいで目隠しをして親子を近づけさせ、目隠しをとって親子の対面を果たさせます。二人を逃がした孫右衛門が「切り株で足つくな」と最後まで案じながら見送る姿が胸を打ちます。 (イラストレーター・辻和子)

 

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