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【伝統芸能】

<新かぶき彩時記>庚申信仰が下敷き 「三人吉三」盗賊の宿命

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 特定の日に生まれた子供が泥棒になる!? そんな民間信仰にヒントを得たのが「三人吉三(さんにんきちさ)」。

 その信仰とは、中国発祥の「庚申(こうしん)信仰」。庚申は六十を周期として、暦や方位に使われる干支(えと)のひとつ。人間の体には悪い虫が住んでおり、庚申の日になると寝ている間に天に昇り、その人の悪事を神に報告して寿命を縮めさせるというものです。そのため庚申の日には、虫を昇らせないよう徹夜する風習もありました。そして猿を使いとする山王信仰と合体して「見ざる 言わざる 聞かざる」の「三猿(さんざる)」が、庚申信仰の象徴として知られるように。今も各地に残る庚申塚や庚申堂には、そんな由来が込められています。

 また、庚申の日には男女が同じ床に寝るのはタブーとされ、それを破った結果できた子供や、この日に生まれた子も泥棒になると言われていました。

 「三人吉三」は三人の盗賊が主人公の作品で、初めて出会った彼らが義兄弟の契りを結ぶのが大川端(隅田川)の庚申塚の前。庚申信仰が下敷きなので、彼らは盗賊であり、三猿を連想させる三人は、庚申の縁起物のくくり猿を交換します。彼らの運命に不吉に関わってくる刀も庚申丸という名前。つまり本作は、社会から疎外された彼らが、自らはあずかり知らぬ宿命に操られているという構図で、作者の河竹黙阿弥の着想が光ります。(イラストレーター・辻和子)

 

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