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【伝統芸能】

<新かぶき彩時記>「三人吉三」とお七 随所にイメージちりばめ

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 八百屋お七は、恋人に会いたい一心で放火事件をおこし、火あぶりとなったとされる十代の少女。その衝撃性から、さまざまな文学や芸能のモチーフとなりました。その代表的作品が井原西鶴の「好色五人女」で、お七の恋人は吉三郎という名になっています。

 「三人吉三(きちさ)」は、そんなお七のイメージがモザイクのように組み込まれた作品。吉三という同じ名を持つ三人の盗賊が主人公です。女装盗賊のお嬢吉三は、過去に誘拐された八百屋の息子という設定。序幕では「八百屋の娘でお七」という偽名を名乗りますが、この作品では、お七が登場する他の歌舞伎作品のパロディーが随所に登場します。

 悪事が積もって追いつめられたお嬢が吉祥院の欄間に隠れるのは「松竹梅湯島掛額(ゆしまのかけがく)」のパロディー。「好色五人女」では、火事で自宅を焼け出されたお七が、吉祥院に避難して吉三郎に出会います。「−湯島掛額」はそこから想起された歌舞伎作品で、こちらのお七は、嫌な縁談から逃れるために欄間に隠れます。「三人吉三」の終盤でお嬢吉三が、火の見やぐらに上がって太鼓を叩(たた)く場面は「松竹梅雪(ゆきの)曙(あけぼの)」のパロディー。「−雪曙」のお七は、恋人の危機を救うため太鼓を叩くのですが、作者は「三人吉三」と同じ河竹黙阿弥なので、自作のパロディー化です。ちなみに「三人吉三」のお嬢を初演したのも、お七役を得意とした女形でした。

 (イラストレーター・辻和子)

 

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