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【伝統芸能】

「武者修行のつもりで」「探求心で日々精進を」 推薦名流舞踊大会 初出演の仁科親子が抱負

 第五十五回推薦名流舞踊大会(九月十四日、東京・国立大劇場)に初めて出演する女優仁科亜季子(66)、俳優克基(まさき)(36)の親子。亜季子は「(歌舞伎俳優だった)父(岩井半四郎)が八年前に他界して日本舞踊から遠ざかっていましたが、息子がやる気を出してくれた」と出演の動機を語り、「岩井流以外の舞台には出たことがなかった。武者修行のつもりです」と、さまざまな流派が出演する「推薦名流舞踊大会」への舞台出演に意気込む。

 今回は大曲「吉野山」に挑む。名作「義経千本桜」の場面の一つで、義経の愛妾(あいしょう)・静御前、義経の忠臣・佐藤忠信実は源九郎狐が登場する。亜季子が静御前、克基が佐藤忠信を演じる。清元、義太夫、長唄に乗せて踊る、四十五分もの長い作品となる。

 生まれ育った環境もあり、四歳のころから舞踊の手ほどきを受け、六歳の時に静御前、中学生の時には佐藤忠信を演じた亜季子。静御前は六十年ぶりという。これまでがんを四度発症したが克服して復活、「義経を思う心がうまく表現できれば」と話す。

 舞踊家・岩井久次郎としても活動している克基は、父松方弘樹の死(二〇一七年一月)を契機に人生を見つめ直したという。「それまでは(テレビの)バラエティー番組が主戦場でしたが、役者という父の血、舞踊という祖父の血を継いでいこうと思った」

 親子の舞踊共演は十数年ぶりという。「息子は煙たがっていると思います。私も小さいころ、父と踊りましたが、いやなものです」と亜季子は話すが、一緒の舞台に立って作品をつくりあげることには「感慨深いものがあります。ドキドキです」と心境を明かす。

 静御前の優雅な舞、忠信と狐の踊り分けなどが見どころの一つだが、克基は「日舞は奥深く、ゴールがない。あくなき探求心を持って日々精進、努力していきたい」と抱負を語った。

     ◇

 推薦名流舞踊大会は、午前十一時開演。入場料七千五百円。問い合わせは、東京新聞文化事業部=(電)03・6910・2345(平日午前十時〜午後六時)。

<見どころは>橘弥30回目の出演 「鳥羽絵」軽やかに

 流派を超えて、第一線の舞踊家たちが競演する「推薦名流舞踊大会」。本公演では、出演10回ごとに表彰を行っている。今回は花柳橘弥(はなやぎきつや)と若柳果穂(わかやぎかほ)だ。

 橘弥は30回の記念の出演で、清元「鳥羽絵(とばえ)」を踊る。内容は鳥羽僧正が描いた戯画をもとにしており、商家の台所を舞台に使用人とネズミのこっけいなやりとりを表現する。ネズミ役の花柳翁麗(おうれい)とは長年共演しており、息もぴったりだ。橘弥は「動きが多く体力を使いますが、持ち前のチャレンジ精神で頑張ります」と話す。

 10回目の出演を迎える果穂は、長唄「高尾さんげ」に登場。高名な吉原の遊女の亡霊が、生前の遊郭の様子を追想する情感豊かな作品だ。3年前に亡くなった正派若柳流代表の若柳東穂(とうほ)に舞踊を学んできた果穂に、泉下の師匠も声援を送っていることだろう。

 今年6月に祖母美乃から家元を継いだ神崎美帆、そして、亡き伯母から三代目を継承した若柳吉駒(きちこま)は、流派の次代を背負う舞踊家として、決意も新たに、飛躍の舞台が期待される。さらに、「吉野山」(仁科亜季子、仁科克基)、「菊慈童(きくじどう)」(花柳園喜輔(そのきすけ))、「双面水照月(ふたおもてみずにてるつき)」(西川喜之華(きのはな)ほか)、「お夏狂乱」(宗山流胡蝶(むねやまりゅうこちょう)ほか)といった、能由来の演目や歌舞伎舞踊劇も見ごたえ十分だ。初出演は「吉野山」の2人に加え、「北州(ほくしゅう)」の志賀山千尋、「鐘の岬」の西川こまき、「雪折竹(ゆきおれだけ)」の水木紅凰(こうおう)ら。どんな舞台を見せてくれるか楽しみだ。 (日本舞踊研究家・濱口久仁子)

 

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