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【伝統芸能】

“上方落語”の神髄見せる 東京で来月から定期公演

「東京の人たちにもっと上方落語を広めたい」と話す笑福亭仁智会長=大阪市の天満天神繁昌亭で

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 大阪を拠点とする上方落語協会が三月から、東京で定期的に寄席形式の主催公演を開くことになった。江戸落語とは味わいの異なる上方噺(ばなし)の発信に加え、高座から全国区のスターや名人を生み出したいという協会の長年の悲願もにじむ。二〇一八年に会長に就任した笑福亭仁智(67)は「関西弁だからこそ面白い滑稽噺も多い。上方落語の真骨頂を披露したい」と意欲を語る。 (藤浪繁雄)

 「寄席は独特の緊張感があり、噺家は鍛えられるんですわ」。仁智会長は寄席の効能を強調する。ほかの演者がどんな演目を披露したか、客の入りや反応は…。寄席に入ると、演者は楽屋からその日の状況を把握し、高座に生かす。寄席で培ったその力量は観客をつかむことに生きてくる。「独演会などとは違い、その場でいろいろ考えながら高座に上がる。これが大切」

 上方の常設寄席は〇六年、天満天神繁昌亭(大阪市北区)が開場、一八年には神戸新開地・喜楽館(神戸市兵庫区)もオープン。協会所属の噺家が連日出演しているが、一九七一年に笑福亭仁鶴に入門した仁智会長によると、噺家数は「当時と比べ五倍以上」という約二百七十人に増えた。「もっと個々の出番を確保したい」「人気者を輩出したい」という二つの大きな課題を打開するために、協会として「東京進出」、しかも「定期公演」という攻めの手を打つことにした。昨年十一月からは名古屋でも定期公演を開始。手応えをつかんだことも東へ進む追い風となった。

常設の天満天神繁昌亭=大阪市で

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 手始めの会が三月十五、二十日に東京都中央区の日本橋公会堂で開く「精選上方落語会」。十五日は「新作落語特集」として、仁智会長、月亭遊方、桂三度らが出演。二十日は笑福亭鶴瓶や笑福亭鶴光ら大スターや実力派も登場する。「初回なので花火のようにドーンと盛大に打ち上げたい」と仁智会長。

 この後は六月三日を皮切りに、江東区の深川江戸資料館を会場に、三カ月に一回程度開く予定。中入り前にベテランを配置、トリは中堅に任せる方針。「最初は赤字覚悟」「運営も手探り、手弁当」と語る仁智会長だが、上方噺を広めるチャンスにかける。コテコテの大阪弁を繰り出す商人の滑稽噺などは「当たりが柔らか」。侍やシャキシャキの江戸言葉の職人らが登場する噺とはひと味違う。お囃子(はやし)といった鳴り物や、いろいろな道具を使う高座も上方ならではの特徴で、「大勢に東京の雰囲気を体験してもらい」独自性を打ち出していく。テレビのバラエティー番組発ではない本格派の誕生も目指す。

 東京の定期公演の実現に尽力する一人で、実験的な高座などでファンを増やしている笑福亭たま(45)は「東京=全国区の場所で実力試しができることに皆さん、特に若手は喜んでいると思う。また、特定の演者ではなく、上方落語を目当てに来るお客さんを前に、寄席形式で披露できる定期公演は大きい」と意義を語った。

     ◇

 精選上方落語会、今後の東京公演についての問い合わせは上方落語協会=(電)06・6354・7727(平日午前十時〜午後六時)。

2018年7月、開業した「神戸新開地・喜楽館」口上であいさつする桂文枝(中央)ら=神戸市で

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