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【伝統芸能】

吉右衛門 菊之助 気分新たに「親子共演」 新橋演舞場・四月大歌舞伎

(左) (右)

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、東京・歌舞伎座、国立劇場(小劇場)、明治座、京都南座3月の歌舞伎公演はすべて中止となった。なおも先行き不透明な状況が続くが、感染防止対策に細心の注意を払いながら公演の実施に備える動きもある。東京・新橋演舞場は、「四月大歌舞伎」を3日から27日まで上演(15日は休演)する予定だ。 (山岸利行)

 「ニュースで(コロナウイルスが)世界的に広がっているのを見ると不安。劇場に来ていただく安全な環境が整うことを祈るばかりです」と話す尾上菊之助(42)は、夜の部「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)」で、中村吉右衛門(75)と共演する。実際の事件をもとにした人気の高い世話物(町人社会に材を得た作品)で、主人公の佐野次郎左衛門を当たり役の一つにしている吉右衛門は「新鮮な気持ちでやりたい」と意欲を見せる。

「籠釣瓶花街酔醒」で次郎左衛門を演じる吉右衛門

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 下野(しもつけ)(現・栃木県)の佐野の絹商人である次郎左衛門(吉右衛門)が江戸・吉原で花魁(おいらん)道中に遭遇し、妖艶な兵庫屋八ツ橋(菊之助)に一目ぼれ。八ツ橋のところへ通いつめるが、ある時、八ツ橋に愛想を尽かされる。田舎に帰った次郎左衛門はしばらくして再び吉原に現れて…。講談「吉原百人斬り」がベースにあり、現代にも通用しそうな物語だ。

 吉右衛門にとって菊之助は娘婿、菊之助にとって吉右衛門は岳父。この演目の同じ役での親子共演は二〇一六年二月の歌舞伎座以来、二度目。

 前回の菊之助について吉右衛門は「新鮮な感じを受けた。とても人間的でよかった」と評価。「男は女にもてたい。女は男を有頂天にさせたいということは、変わらないテーマ。これをどうお客さまに伝えるか。今回はさらに深められると思う」と話した。

 菊之助は「その場その場を刹那的に生きる女性として前回八ツ橋を演じ、岳父の次郎左衛門といると居心地がよかった」と振り返る。今回は「華やかな吉原だけではなく、最後に次郎左衛門と二人きりになった時の闇の吉原の場面で、寂しさの雰囲気も出せたら」。

 昼の部で菊之助は「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ) 白浪(しらなみ)五人男」の弁天小僧菊之助役でも出演。尾上松緑の日本駄右衛門、坂東彦三郎の南郷力丸らとともに、おなじみの舞台をつとめる。「歌舞伎の様式美、七五調のせりふなど、白浪の世界を引き継いでいきたい」と抱負を語った。

 働き盛りの菊之助について吉右衛門は「『風の谷のナウシカ』を歌舞伎にするなど、われわれが思い付かないことをして、すごいなと思う。歌舞伎は伝統だけでなく、革新的なこともやっていかなくては。華があるので弁天(小僧)も八ツ橋もぴったり。女形と立役(たちやく)を、本当に兼ねられる役者だと思う」と太鼓判を押した。

      ◇

 「四月大歌舞伎」は、歌舞伎座が舞台機構のメンテナンスなどのため公演はなく、新橋演舞場で上演される。体温が三七・五度以上の観客の入場制限や劇場内の除菌、換気などに努める。昼の部(午前十一時開演)はほかに、「身替座禅(みがわりざぜん)」(尾上菊五郎ら)。夜の部(午後四時半開演)はほかに、「晒三番叟(さらしさんばそう)」(尾上右近ら)、「網打(あみうち)」(中村歌昇ら)。

 チケットホン松竹=(電)0570・000・489。

八ツ橋を演じる菊之助(左)

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