東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > イベント情報 > 美術一覧 > 世界遺産 国立西洋美術館開館60周年記念 ル・コルビュジエ 絵画から建築へ−ピュリスムの時代 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

世界遺産 国立西洋美術館開館60周年記念 ル・コルビュジエ 絵画から建築へ−ピュリスムの時代

<拝啓 ル・コルビュジエ様>(下)忘れない「柱を大事にしなさい」 槇文彦

槇文彦

写真

 貴方は覚えていらっしゃらないかとも思いますが、私がチャンディガールに貴方をお訪ねしたのは1959年6月の暑い夏でした。貴方は天井が高い薄暗いアトリエの中で、チャンディガール北部のダムに彫りこむ壁画のスケッチをされていました。私がフランス語が出来ない為に、親切に英語で我々の共通の友人であったインドのドーシ、日本の前川國男、坂倉準三さんのお話等をさせて戴(いただ)きました。これが私の始めで、そして最後におめにかかった時でした。私がその頃設計していました名古屋大学豊田講堂の設計についてもコメントを戴(いただ)くことが出来ました。その時の「柱を大事にしなさい」という貴方の言葉を私は一生忘れません。

インド北西部「チャンディガール」の合同庁舎

写真

柱を中心としたル・コルビュジエの骨組み構造 ≪メゾン・ドミノ≫ 1/30模型 サレジオ工業高等専門学校 比留間真研究室製作 (C)下田泰也/Echelle−1

写真

◆ル・コルビュジエとアジア

 ル・コルビュジエはアジアの建築家にも大きな影響を与えてきた。後に第2次大戦後の日本建築界をリードする前川國男(1905〜86年)は28年、渡仏し、ル・コルビュジエ事務所に入所。その3年後に、前川の紹介で同様に師事することになるのが、日本の近代建築を国際水準にまで高めたと評価される坂倉準三(01〜69年)だ。

 昨年、「建築界のノーベル賞」とされるプリツカー賞をインド人で初めて受賞したバルクリシュナ・ドーシも巨匠の下でインド北西部の新都市「チャンディガール」建設を担当した。

 コルビュジエ建築の特色の一つに、「柱」の重視がある。伝統的な西洋建築では屋根を支える主な役割は石積みの壁だったが、それを取り払い柱を中心とする骨組み構造を考案。現代のガラス張りの建築などにもつながっている。 

<まき・ふみひこ> 1928年東京生まれ。52年東京大学工学部建築学科卒業後、ハーバード大学大学院の修士課程を修了。ワシントン大学、ハーバード大学で准教授を務め、65年に槇総合計画事務所設立。代表作に幕張メッセ、ヒルサイドテラスなど。93年プリツカー賞受賞。

<展覧会情報>ル・コルビュジエの原点となった絵画や資料を、彼自身の建築の中で紹介する「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ−ピュリスムの時代」展(東京新聞など主催)は5月19日まで国立西洋美術館で開催中。詳しくはハローダイヤル=03(5777)8600=もしくは公式HPへ。

 

この記事を印刷する