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【全日本大会】

[総合]多賀、連覇 辻監督「潜在能力あった。100%発揮してくれた」

優勝した多賀少年野球クラブの選手たち=神宮球場で(いずれも沢田将人撮影)

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 高円宮賜杯第39回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント(全日本軟式野球連盟、東京新聞など主催)は24日、神宮球場で決勝が行われ、前年優勝の多賀少年野球クラブ(滋賀)が茎崎ファイターズ(茨城)を下して連覇を達成、2度目の賜杯を手にした。大会連覇は第22、23回大会、第35、36回大会の長曽根ストロングス(大阪)以来3度目。茎崎は初の決勝進出で頂点を狙ったが届かなかった。

 最終7回裏2死満塁の大ピンチ。茎崎の打席は一発のある中村悠希君。多賀少年野球クラブの藤内翼君は腹をくくった。

 「負けるなら全力を出し切って負けよう」

 一発を浴びれば逆転サヨナラ負けの場面で開き直った一投で左飛に打ち取り、ゲームセット。ハラハラドキドキの幕切れも終わって見れば、多賀の強さが際立った。

連覇を達成し、マウンド上に集まって喜ぶ多賀少年野球クラブの選手たち

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 大技も小技もできる、ソツのない多賀野球。この日はスモールベースボールだった。1点を先行された直後の4回。先頭の辻琉沙主将が左前打で出塁。1死二、三塁で藤内君の遊ゴロの間に同点。さらに、敵失で勝ち越した。6回にも辻主将が左前打で出塁し、1死三塁の好機をつくる。ここで、ヒットエンドランのサイン。坊野幸樹君は高めのボールをうまく転がし、三走の辻主将が3点目のホームを踏んだ。

 2安打2得点の辻主将は「とにかく四球でもなんでもいいから塁に出ようと思ってました」と笑顔。主将で1番打者でエース。この日は先発して5回1失点の好投。大会を通しての通算打率は450。投打でチームをけん引した。

先発で力投する辻選手

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 前年度優勝チーム枠で予選なしでのぶっつけ本番出場。辻正人監督は「子供たちの潜在能力はありました。ただ、それを本番で発揮できるか。不安がありましたが、100%発揮してくれました」と柔和な笑み。優勝した昨年のチームから練習時間を減らす取り組みをし「土曜は半日にして、親子練習のためにグラウンドを開放したり。勝つために子供らしい時間を犠牲にしなくていい。そういうメッセージも全国に伝えられれば」とも話した。来年は前人未到の3連覇成るか。いやが応でも注目される。

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 ▽楽天・則本(多賀少年野球クラブのOB)「多賀少年野球クラブの皆さん、優勝おめでとうございます。僕は優勝できなかったので、それを2年連続でするなんて、とんでもないことをしてくれたなと思います。後輩たちの偉業は誇りに思いますし、僕の力になります。僕も負けないよう、『すごい先輩』と思ってもらえるピッチングを後輩たちに見せていきたいですね」

◆茎崎、堂々準優勝 最後まで王者苦しめた

準優勝した茎崎ファイターズの選手ら

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 敗れはしたが、茎崎ファイターズも、最後の攻撃では2死満塁と詰め寄り、粘りの野球を見せた。

 昨年王者の多賀少年野球クラブを相手に、3回裏、七村佑聖君が2死から敵失で初出塁。先制適時打で生還させた水瀬航平選手は「右飛と思ったが、(打球)落ちたときはガッツポーズをした」。しかし直後の4回に逆転され、6回には追加点も。吉田祐司監督は「一本が出なかったのが相手との差」と振り返った。

 それでも、相手ペースのままでは終わらなかった。7回裏、「とにかく出塁しよう、逆転したい」と打席に立った桜井創太君が二塁打を放つと、四死球で2死満塁とし、連覇を目前にした多賀を苦しめた。

 試合直後は「悔しい」と泣きじゃくっていた選手たちも、表彰式後は銀メダルを胸に笑顔でダイヤモンドを一周。高島大悟主将は「最後まであきらめずに試合ができて、悔いはない」と前を向いた。 (松村裕子)

◆「1日70球ルール」は多賀に追い風

<大会総括> 投手の「1日70球ルール」が話題となった今大会で多賀少年野球クラブが連覇を果たした。「70球ルール」導入前から、近年は学童野球における投手の潮流は球速よりもコントロール重視、起用も完投から継投へとシフトしている。その先駆者の一人が多賀・辻正人監督(51)なのだ。

 初優勝した昨年大会も、多賀は多くの試合を継投で勝ち、1試合当たりの球数は、ほぼ一人70球以内に収まっている。「70球ルール」は、多賀には追い風だったのだろう。

 準優勝の茎崎ファイターズ・吉田祐司監督(46)の言葉も興味深い。「70球ルール」導入元年のことし、茨城県大会は同ルールの採用を見送ったが、茎崎は自主的に「一人70球」を実践。「多くの選手に投げさせる中で、彼らに自立心が芽生えた」という。

 課題もある。まず、今大会でもあったダブルヘッダーの解消は急務だ。「選手の健康」を掲げる以上、「過密スケジュールの解消」は大会運営側の責務といえる。

 また、一度、他の守備位置についた投手の「再登板禁止」には疑問の声が多かった。医学的根拠が薄いとの指摘に加え、「戦術部分にまで、ルールが踏み込んでいると感じる」と話す指導者もいる。野球が「相手チームより多くの得点を記録して、勝つことを目的とする」(公認野球規則1.05より)スポーツである以上、「70球ルール」内でのあらゆる戦略は担保されるべきだろう。

 改革は始まったばかり。「選手のため」の言葉に逃げることなく、今後もより良い制度を模索する必要があると感じる。 (学童野球担当・鈴木秀樹)

(東京中日スポーツ)

 

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