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【地域のチカラ】

南伊豆の風景雑貨に投影 東京から移住のデザイナー2人

連尺バッグ(右)や、ロープと流木のほうき(右から二つ目)などデザインした作品について説明する近藤拓也さん(左)と北田啓之さん=静岡県南伊豆町子浦で

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 東京から静岡県南伊豆町に移住し、世界に羽ばたいた二人組の雑貨デザイナーがいる。流木を柄にしたほうき、動物よけの網を使ったバッグ−。作品は南伊豆の暮らしや自然をデザインに取り入れるのが特徴。デザイン経験はなかったが、プロが認め、国内外の有名インテリアショップに作品が並ぶ人気ブランドに成長した。 (志方一雄)

◆ないものは作ろう

 二人は「タラスキン ボンカース」の近藤拓也さん(46)と北田啓之(ひろゆき)さん(50)。東京で別々の会社に勤めていたが、仕事を通じて意気投合。二〇〇七年にそろって会社を辞め、事業を始めようと話していた。

 事務所の物件をインターネットで探し、目に付いたのが南伊豆町子浦の一軒家。窓から海が見える景色に魅了された。購入後に自力で家を改装し、荒れた畑も開墾して二年が過ぎた。

 南伊豆では卵を買うにも十キロ以上離れたスーパーまで車で移動する。生活用品も買えないため、「ないものは作ろう」という発想に。第一号が、タオル地のシャツの縫い目をほどいて作った布巾だった。

 ほうきも手作りした。港で見掛けるロープをほぐし、拾った流木を柄にして、漁船で使う金具で留めた。作品をホームページにアップすると、東京都港区の有名インテリアショップ「シボネ青山」から「カーテンの端切れがたくさんあるんだけど、何かできないか」と電話が来た。端切れを縫い合わせたクッションカバーがデビュー作となり、同店との取引が始まった。

◆仏有名店と取引も

 すると、店に出入りしていたフランスの有名店「メルシー」のバイヤーが、ほうきを気に入って購入。メルシーとの取引も生まれた。いつしかデザインが仕事となり、取扱店は現在、国内十一店、海外三店に広がっている。二人は「南伊豆の自然や、地に足の着いた暮らしが作品の魅力につながっている」と人気の理由を分析する。

 路地と坂道が多い集落では、人々は荷物を籠で運ぶ。肩が痛くならないよう、籠には柔らかな布地で編んだ「連尺ひも」が取り付けられている。そのひもをカラフルにしたショルダーバッグは「かわいい」と女性に評判だ。畑にある動物よけの青色の網が「すごくきれい」と感じ、網と布を組み合わせたバッグも人気商品となった。

 南伊豆で毎日、木々を目にしていると、枝の個性が分かるようになるという。「これは元気に育っている」と感じた枝の形をかたどり、ろうそくを作る。

 近藤さんは「自動車とか住空間にまで、デザインの幅を広げたい」。北田さんは「世界各地で特有の素材を見つけて、それを生かすデザインを考えてみたい」。夢を描きながら、思いを形にし続けている。

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