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【地域のチカラ】

空き店舗、寄り添い再生 青梅の商店街 官民出資会社が橋渡し

元歯科医院をキッチンや本棚を備えるブックカフェに改修した物件の見学会で説明する「まちつくり青梅」の黒沢志緒利さん(左)=いずれも東京都青梅市で

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 「シャッター通り」と化している商店街の空き店舗問題に、官民で対策を打ち出している東京都青梅市に全国から視察が相次いでいる。空き店舗の所有者と新規開業希望者を結び付け、地元の魅力を生かした新店舗を生み出している。 (山本哲正)

 都心から約五十キロ離れた旧青梅街道の商店街には、江戸時代から昭和期にかけて建てられた町家や蔵が点在し、レトロな魅力がある。その路地裏にある元歯科医院で昨年暮れ、空き店舗の見学会が開かれた。

 市などが出資した株式会社「まちつくり青梅」が外壁を黒くおしゃれに改修。本棚やキッチンも取り付け、ブックカフェを経営する人を募った。三日間の見学会に約三十組が参加。同社の黒沢志緒利さん(39)が「いま並べてある本は青梅市民が選びました。経営者も一緒に選んでほしい」と説明した。市内で別のカフェを経営する女性(42)は「窓が広くて好印象。駅から近い立地もいい」と魅力を感じていた。

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◆変化に手応え

 中小企業庁の調査では、空き店舗が続く原因の上位に「所有者に貸す意思がない」「補修・改修をしていなくて貸しにくい」が並ぶ。二〇一五年に誕生した「まちつくり青梅」はその課題克服に取り組む。自治会長など地域の顔役に頼んで空き店舗所有者に声を掛けてもらい、「町の活性化のために店舗の再生を」と丁寧に説明。建物の改修や見学会などにかかる費用は同社が負担する。

 青梅の中心市街地では直近五年間で約五十件廃業し、新規開業はコンビニなどを含め約七十件。同社は一五年の設立以降、家具工房やサイクルスポーツ基地など十六件の開業につなげており、個性的な店舗づくりに果たしている役割は大きい。

 市街地で開業している店舗でも、半数余りは経営者が六十代以上で、後継ぎもいない。スナック経営の男性(75)は「うちも十年先に誰が店をやるのかと考えていた。周りの店も『後継ぎがいない』と悩んでいる」と話し、まちつくり青梅の活動に関心を寄せる。同社の山田寛道さん(40)は「町の変化に気付いた所有者から、相談が来るようになった」と手応えを語る。

「まちつくり青梅」の紹介で、元化粧品店だった空き店舗に「青梅麦酒」を開いた武藤一由さん。店舗の上部には前のお店の名残がある

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◆魅力掘り起こし

 同社に元化粧品店を紹介されて昨年四月、地ビール飲食店「青梅麦酒」を開いた青梅市の武藤一由さん(42)は、近所の飲食店から「この店から町やうちにお客の流れができた」と喜ばれているという。貸主の野口仁(まさし)さん(70)も「商店街の寂しさに輪を掛け、申し訳なく思っていた。町の活性化につながり良かった」と感謝する。

 武藤さんは市外からの新規開業に「私たちが当たり前と気に留めずにいた町の魅力を掘り起こしてくれる」と期待を掛ける。立川市の女性画家は、木造の商店が正面外壁を洋風にするなどの「看板建築」が残る青梅の町並みを気に入り、移住して空き店舗にアトリエを開く予定だ。

 貸す側、借りる側それぞれの思いに寄り添う取り組みが、実を結んでいる。

<まちつくり青梅> レトロな町並みを生かした町づくりを進めてきた青梅市も、中心市街地の空洞化が深刻化。市中心市街地活性化協議会は2013年、日銀調査統計局を経て都市計画分野で活躍する国広純子さんをタウンマネージャーに招き、15年に市、青梅商工会議所、近隣商店会などが出資して「まちつくり青梅」を設立した。元は市営だった市街地駐車場を経営して収益を稼ぎ、空き店舗所有者と新規開業者のマッチングを無償サポート。新規開業を目指す人が商品の売れ行きテストを兼ねる青空市場も開いている。

 

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