東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > 地域のチカラ > 記事一覧 > 記事

ここから本文

【地域のチカラ】

SNSでご近所付き合い 川崎のマンション 子育て世帯が活用

無料通信アプリ「LINE」での過去の投稿を振り返る米山奈美さん(右)と谷沢理里さん=川崎市宮前区で

写真

 井戸端会議は、会員制交流サイト(SNS)へ−。ご近所付き合いが希薄な都市部で、SNSで身近な情報を共有する動きが広がっている。川崎市宮前区のマンションでは、小学生以下の子どもがいる世帯が無料通信アプリ「LINE」でつながる例も。不審者注意の連絡から子育ての悩み相談まで、新たなご近所付き合いに役立てている。 (奥野斐)

 マンションの子育て世帯に、LINEを使った「井戸端会議」を呼び掛けたのは、同区の主婦で小学四年、一年、年中児の三人の子を育てる米山奈美さん(42)。全三十二戸のマンションに暮らし、昨年十月に子育て中の十五戸をLINEグループ「子育てチーム」でつないだ。

 もともと子どもの年齢が同じ親同士で連絡していたが、二年半前、同時期に妊婦三人が入居。「手助けできれば」と声をかけ、米山さんを含む四人のLINEグループを作り、「子どもの年齢に限らず、もっと情報交換したい」とグループを一つにまとめた。

 週に数回、「お薦めの小児科は」「粗大ごみの日を教えて」「落とし物がありました」など、役所などに聞くまでもない質問や連絡の投稿ややりとりが交わされる。以前、風邪で寝込んだ米山さんが状況をつぶやくと、心配した人が総菜を自宅に届けてくれた。「『今から公園に行くけど、一緒に行く人?』という声掛けもある。助け合いや子どもの預け合いがしやすくなった」と米山さんが話す。

 LINE活用の背景には、米山さんの孤独な育児経験がある。第一子が生まれたとき、接客業の仕事を辞めたばかりで、実家も遠く、周囲には友人知人もいなかった。

 「日中は母子だけ。赤ちゃんを抱きながら、この湿疹は大丈夫か、熱っぽいけど病院に行く必要があるのか、ちょっとしたことで不安になった。近くに聞ける人がいたらと思った」と振り返る。「妊娠中から地域のつながりが大事」と実感した。

 米山さんに誘われてLINEグループに参加した妊婦の一人、谷沢理里(りり)さん(27)は「子育て中の人がいると知っただけで、安心できた」と笑顔を見せる。子ども同士の関係も築かれ、二歳の長女を小学四年生が迎えに来て、マンション内の公園で遊ばせてくれる。

 マンション内ではあいさつが増え、子どもが周りの大人を頼ったり、親以外に叱ってもらったりすることも。SNSを通じて始まったご近所付き合いはどこか懐かしい。米山さんは「みんなで子どもたちを育てているという意識が出てきて、私も気持ちが楽になった」という。「おせっかいおばちゃんがいて、一つのツールでつながれば、母親の孤立や産後うつの防止、防犯や共助にもつながるはず」と期待した。

◆広がる地域情報共有 医療、グルメ、物々交換も

 地域の情報を共有する民間の「地域SNS」の活用も広がっている。

 「PIAZZA(ピアッツァ)」(東京都中央区)は、子育てや医療、グルメ、生活情報の共有、不用品の物々交換などができるアプリだ。湾岸部の豊洲・勝どきエリアで始まり、自治体や企業と連携してイベント情報などを発信。同社によると、「豊洲・勝どきでは三十〜四十代世帯の三割に普及している」といい、リアルにつながる場づくりにも力を入れる。

 自治会や町内会は、全国的に高齢化や新規加入率の低下などの課題を抱える。「ご近所SNSマチマチ」は文京、渋谷区など十七自治体と提携し、行政情報を発信。昨年から利用する港区の担当者は「従来届きにくかった若い世代に直接、早く情報を届けられるのがメリット」と話した。

 

この記事を印刷する

PR情報