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【言わねばならないこと】

<特別編>特定秘密保護法きょう成立5年 「戦争する国」へ進む 弁護士・海渡雄一さん

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 特定秘密保護法が国民の「知る権利」を侵す恐れがあると指摘されながら、成立して六日で五年となる。社会にどんな影響を与え、どんな問題点をはらんでいるのか、この法律に詳しい弁護士の海渡雄一さんに聞いた。 (聞き手・清水孝幸)

 特定秘密保護法が成立した後、安全保障関連法、「共謀罪」法が次々と成立し、この五年で日本が「戦争をする国」になるための法律がフルスペックの状態で整った。

 まず国家安全保障会議(NSC)設置法ができ、戦争遂行の機関を作った。秘密法が続き、戦争準備の情報を隠す制度ができた。そして、安保法で海外での武力行使に道をひらき、共謀罪法は戦時の反対運動を抑える仕組みを作った。安倍政権はこの路線を突き進み、この先には九条改憲と緊急事態条項の新設がある。

 秘密法が適用された刑事事件はまだない。制定時の大きな反対運動から慎重に運用しているのだろう。だが、見方を変えれば、機密の漏えいに最高懲役十年という厳罰によって、公務員の内部告発、報道機関や市民運動の情報収集を萎縮させる効果が強く働いている結果ともいえる。

 この五年で行政機関の情報公開も後退した。各省庁が独自に判断して開示していた情報がなかなか開示されなくなった。特に首相官邸が絡んだ情報になると、顕著だ。無理に理屈をつけて非公開にするので、公開の例外が拡大している。国民の知る権利が制約されている。

 秘密法の問題点も放置されたままだ。もし市民が摘発され、刑事裁判が行われても、どんな情報の漏えいにかかわって罪に問われたのか、具体的に示されない。何が秘密かも秘密だ。行政が恣意(しい)的に特定秘密を指定し、政権に都合の悪い情報を隠す恐れがあるが、特定秘密は件名しか示されず、チェックできない。

 米国は機密情報の管理が厳しい国だが、数年すると、多くが解除され、公開される。日本では特定秘密の解除後も公開されず、廃棄される。秘密法は廃止すべきだが、せめて一定期間後に公開させる制度を必ずつくるべきだ。

<かいど・ゆういち> 1955年生まれ。弁護士。秘密保護法対策弁護団の共同代表。著書に「秘密保護法対策マニュアル」など。

<特定秘密保護法> 防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野で、国の安全保障に関する重要な情報を特定秘密に指定し、保全を図る法律。2014年12月に施行され、公務員らが外部に漏えいした場合、最高で懲役10年が科される。指定の有効期間は原則最大30年で、内閣の承認があれば延長できる。

 

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