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【とちぎ こころの健康便】

マナー違反、どう注意? 恥をかかせず小声で

 ゴミのポイ捨てや「歩きスマホ」、禁煙場所での喫煙など、他人のマナーやルール違反が気になることはありますよね。そんな時は注意したりやり過ごしたりと、対応はさまざまでしょう。注意した相手から言い返されて嫌な思いをした人もいるかもしれませんが、相手に逆上され、けがをさせられるなどの刑事事件に発展するトラブルが起きているのが実情です。反感を買わずに相手に忠告できるような、赤の他人に対する上手な注意の仕方はあるでしょうか。それとも、黙って見過ごすのが一番でしょうか。水島先生に聞きました。

 結論から言うと、今の時代、赤の他人に対してマナー違反やルール違反を直接注意するのはリスクの方が大きいと思います。

 そもそも人間は生物ですので、自己防御能力が備わっています。人から自分を否定されると、防衛したり反撃したり、という態勢に入りやすいのです。

 これはどんな人間関係においても言えることで、特に予期しないようなタイミングで言われると、心が衝撃を受けますので、ますます、感情的、防衛的になってしまいます。

 ゴミのポイ捨てや禁煙場所での喫煙などは、多くの人が「やってはいけないこと」とわかっています。それでも「今だけだからいいんだ。いつもやっているわけではない」「今日は特に余裕がないから仕方ないんだ」などと、何らかの自己正当化をしながら、実行しているものです。すでに自己正当化で心によろいをつけている状態のときに注意してしまうと、凶暴にすらなってしまう可能性があります。

 注意が唯一まともに機能するのは、本人が、気づかずにルール違反をしている場合。知っていればやらないけれども、ルールを知らなかったからやってしまった、という場合です。そのような場合はただ「ここではルール違反ですよ」と気づかせてあげれば事態が改善するのですが、指摘の仕方には注意が必要です。

 「こんなルールも守れないのか」と、相手の人格を否定するようなニュアンスを乗せてしまうと、「ただ気づかなかっただけ」のことなのに「恥」という衝撃を与えてしまい、結局は反撃的にもなりかねません。相手に恥をかかせないように、小さな声で「ここ、禁煙なんですよ。私も前知らなくて、失敗して」とただ言ってあげれば、相手は受け入れることができるでしょう。(精神科医・水島広子)

 

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