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【知られざる世界ランカー】

競技チアリーディング・笠原園花 花形の気合 1ミリでも高く…豪で躍動

4月に米フロリダで開かれた世界大会で熱演する笠原園花=サザン・クロス・チアリーディング提供

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 とびっきりの笑顔で人々を魅了するチアリーディング。応援者として元気を届け、競技者として自ら輝きを放つ。そんなチアのとりことなった笠原園花(そのか)(27)は今、メルボルン(豪州)の強豪チームに所属し「目標は世界大会で優勝。日本の後輩たちにかっこいい背中を見せたい」と腕を磨く。

 四月に米国フロリダで開かれたクラブ世界一を決める大会で、笠原が所属するサザン・クロス・チアリーディング(SCC)は女子部門で五位と健闘した。笑顔があふれた舞台には、十代の若いメンバーを引っ張る笠原の姿があった。

 昨年の世界大会では今回エントリーを見送った男女混成のトップチームの一員として臨み六位。二〇二〇年は再び混成部門で世界一を目指す。「表彰台に立てなかった悔しさが糧となって、来年に向けて結束力が高まっている。やる気満々」と巻き返しに燃える。

 身長一五一センチと小柄な笠原は、「フライヤー」と呼ばれる宙高く飛ぶ花形ポジションを担う。二年前にメルボルンに来た当初、ジャンプしか勝てるところはないと思い、「昨日より一ミリでも高く飛ぼう」と猛練習した。

 空中で大きく開脚し、両手を左右のつま先に触れる「トゥー・タッチ」は一番の見せ場。「私のジャンプ一つで演技全体の印象が変わる。今ではそんなプレッシャーも原動力」と頼もしい。

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 二十七歳は日本なら引退の二文字が浮かぶ年齢だが、オーストラリアでは誰も年齢など気にしないという。「重要なのは体が動くかどうかということ。体が動くなら三十歳を超えてもやり続けたい」

 中学三年までダンスを習い、進学した都立国立高でもダンス部に入るつもりだった。ところが新入生歓迎の体験会で目の当たりにしたチアに心を奪われ、「私も宙を舞いたい」と入部を即決。熱いチア人生が始まった。

 当時の顧問の伊東章子(現都立東大和南高教諭)は「園花はストイックでやる気が前面に出るタイプ。技術力も高かった」と振り返る。演技で全員バク転を取り入れることになり、その練習中、仲間に向かって「何でできないの!」「何でやらないの!」と泣いて訴えた姿を鮮明に覚えているという。

 高校時代に苦労したのが笑顔の練習だ。苦しい運動の最中も笑顔。高いところから落ちそうになって恐怖を感じても笑顔。笠原は「チアの笑顔は特殊で『目を大きく開けて、口を開ける』が正解。自宅で毎日鏡の前で必死に“作り笑い”の練習をした」と懐かしそうに語る。

 笠原が三年生の時、国立高は日本選手権(日本チアリーディング協会主催)の高校部門で過去最高の四位となる。この経験が「やれば、できる」の原点だ。大学でもチアを続け、卒業後は大企業に就職したものの半年で退職。その後、納得の行くまでチアを続けたいと海外の強豪チームの門をたたいた。

 競技の傍ら、今年に入ってメルボルン在住の日系の子どもたちにチアを教え始めた。世界大会後に一時帰国した際も、横浜市内でチアクラブ「アミューズ☆キッズ」の小中学生らを指導した。クラブの早乙女真紀代表は「園花コーチは子どもたちの憧れ。基礎をしっかり教えてくれる」と話す。

 指導者としても大いなる夢がある。海外の指導法や練習法の良いところを日本に持ち帰り、日本のチアをレベルアップさせたいという。「ゆくゆくは本場のアメリカを超えるような日本代表チームを育ててみたい」と目を輝かせる。

 「海外に飛び出した、その勇気がすばらしい。日本にいては気付かなかったことも多く学んだと思う。指導者としても大きく成長してほしい」。日本スポーツチア&ダンス連盟の君塚亜希子理事が話すように、チア界の期待も大きい。

 (敬称略)

一時帰国中、ジュニアチームの指導をする笠原=横浜市で

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<かさはら・そのか> 都立国立高でチアリーディングを始め、青山学院大卒業後は社会人チームに所属し、日本代表も経験。2017年から豪州メルボルンの「サザン・クロス・チアリーディング」(SCC)で活動し、18年正式加入。クラブチームの世界大会「チア・ワールド」で18年男女混成部門6位、19年は女子部門5位。東京都稲城市出身。

<競技チアリーディング> 組み体操の要素である「スタンツ」や器械体操の「タンブリング」などアクロバティックな動きが多いのが特徴で、ダンスの部分が独立したチアダンスとは区別される。演技時間は2分30秒。技の難易度や正確さ、スピード感、同調性などが審査される。国内の組織は日本チアリーディング協会、日本スポーツチア&ダンス連盟(通称チアジャパン)、USA(ユナイテッド・スピリット・アソシエーション)ジャパンの3つがある。

 文・牧田幸夫/写真・中西祥子

 

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