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【鉄学しましょ】

ミステリー小説の舞台 土屋武之さん

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 1872年設立のワゴン・リ社は、国境での乗り換えが必要だった当時のヨーロッパの鉄道において、中立的な立場で各国と契約を結び、豪華な寝台専用列車を直通させて高い人気を集めた。「ヨーロッパ大急行」と総称される、こうした国際長距離急行網は、両世界大戦の間に絶頂期を迎えた。その代表が、カレー−パリ−イスタンブール間を走った「オリエント急行」である。

 アガサ・クリスティは、1930年代のこの列車を舞台に選び、ミステリー小説「オリエント急行殺人事件」を著した。殺された被害者は元凶悪犯で、1人用の1等寝台の客として乗っていた。しかし個室寝台の多くには隣室と行き来できる扉があり、これを利用した復讐(ふくしゅう)の念に燃える犯人の侵入を許してしまった。もともとは上流階級の夫婦や主人と執事などが乗車することを想定した設備であるが、彼女はそれに目を付けて、トリックを組み立てたのである。

 ヨーロッパ大急行用の客車は、「古き良き時代」の象徴として今も各地で大切に保存されている。写真はデンマークの町、オーデンセの鉄道博物館が展示している寝台車。当時の世相や事件現場の様子は、こうした車両でしのぶことができる。

 

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