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【タイムライン】

個の力、組織力が融合 新生・森保サッカーをひもとく

コスタリカ戦で、縦に攻め上がる中島(右)=いずれもパナソニックスタジアム吹田で

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 サッカー日本代表は森保一監督(50)の就任後、最初の国際親善試合となる9月のコスタリカ戦に3−0で勝利し、4年後のワールドカップ(W杯)カタール大会に向けて船出した。12日にパナマと、16日にはウルグアイとの親善試合を控える中、16強入りしたW杯ロシア大会の戦いをどう継承し、どう進化していくのか。初陣から「新生日本」をひもといた。 (上條憲也、唐沢裕亮)

◆上積み 若い世代、真っ向勝負

 新生日本の初陣で光ったのは、局面勝負に真っ向挑む選手たちの心意気だった。象徴的だったのが、W杯ロシア大会で代表入りを期待されながらも選外だった若い世代。24歳の中島(ポルティモネンセ)は貪欲なまでに縦に突破し、20歳の堂安(フローニンゲン)は高いボールキープ力を随所に発揮。中島と同世代の南野(ザルツブルク)は前線で体を張ったプレーに加え、鮮やかな連係から初得点をマークした。

 日本協会の技術委員会は、西野前監督のもと16強入りしたW杯ロシア大会の日本の戦いについて、攻撃面を「ボールを動かし、相手を揺さぶりながら敵陣に入る」「ボックス内(ペナルティーエリア)で複数が絡む攻撃は非常に素晴らしかった」と分析する。一方で、「1人で仕掛けて崩すという場面はなかなかなかった」とも補足する。

 そのW杯から2カ月。森保監督は初陣を控えた選手に対し、持ち味を存分に発揮してほしいと伝え、快勝後は「それぞれが十分に特徴を出してくれた」。フレッシュな顔ぶれがそろった集合から1週間。即席ゆえに求めたのは、連係よりも、まずはそれぞれの選手の持ち味。

 同時に「自分の良さを生かすためには、周りを生かし、支え合うこと。そうすることで自分の良さが生きる」という哲学も選手に伝えている。問うたのは、チームのために全力で戦うことだ。

 ただ森保監督は、それが「組織力」という言葉で片付けられることを嫌う。日本のサッカーは長く、個の力が弱いから組織で戦うとされてきた。だが現代サッカーはもはや二極論では成り立たない。W杯ロシア大会の日本も、チームとしての連動とともに、乾(ベティス)や大迫(ブレーメン)らの卓越した技術があった。当時コーチだった森保監督はW杯の戦いを通し、「個の力があって組織の力があるからこそ、良い戦いができる」と学んだという。

9月のコスタリカ戦で、メモを手に指示を出す森保監督

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◆「色」 臨機応変に戦術転換

 森保監督はJリーグの広島を率いた時も、東京五輪代表監督として兼任する21歳以下の日本代表でも、基本布陣は3バック。対してコスタリカ戦はW杯ロシア大会の日本を継承した4バック。兼任の立場を生かして若い選手を思い切って起用した面では「森保色」と言えるが、システム上ははっきりとした色はない。

 ただ、W杯メンバーだった槙野(浦和)は「GKを含めて後ろの選手のビルドアップが非常に求められている。そこが(W杯から)変わった印象」。森保監督は広島では後方から丁寧につなぐスタイルを目指した。代表でも守備的MFの青山(広島)や最終ラインが起点になった。

 その分、自陣でのミスが命取りになるリスクが高く、攻守の切り替えの意識が欠かせない。小林(川崎)は「球際に激しくいく。ボールを失うこともあるけど、前に前に、という感じ。その分、チャンスもつくることができるし、テンポが速い」と合宿初日から感じたという。

 森保監督は、決まり事に縛られない臨機応変さも強調する。常に口にするのは「ピッチ内外で柔軟な対応を」。三浦(G大阪)とセンターバックを務めた槙野は初陣を「攻撃に分厚さを求めた分、逆に後ろは相手と同数になることがたびたびあった。でも高い意識で臨機応変にできた」と振り返る。

 監督自身もしかり。コスタリカ戦前には「速い攻撃を仕掛けられる時は速攻を、相手に守られたらボールを握りながら相手を崩していく」と柔軟な戦い方を強調。その試合は守勢に回る時間が少なかったが、守備陣が数的優位を崩されるような展開では、布陣変更も視野にあった。

 ベンチ前でメモをとりながら戦況を見つめていた森保監督。試合後は「流れの中で何が起きるか分からないので、臨機応変に私自身が対応していく準備をしながら試合を見ていた」と振り返った。

 10月の2試合のうち、とくにウルグアイはスアレス(バルセロナ)とカバニ(パリ・サンジェルマン)の強力2トップを擁し、ロシア大会8強入りした強豪。新生日本はどう対応しながら進化していくか。 

 

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