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【タイムライン】

ジム移籍 トラブル絶えず ボクサー契約最長3年ルール 公取委、実態聞き取り調査

JBCのルールブックには「契約の期間は、3年間を超えてはならない」と記されている

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 日本プロボクシング協会(JPBA)と日本ボクシングコミッション(JBC)が、選手のジム移籍の実態を巡り、公正取引委員会(公取委)から独禁法違反の恐れがないか聞き取り調査を受けた。移籍のトラブルにより、選手生活に空白期間ができ、引退を余儀なくされる選手もいる。公取委はルールに則した運用を求めている。 (森合正範)

 公取委は1月24日にジム会長らで組織するJPBAを訪れ、2月6日には国内のプロボクシングを統括するJBCを調査した。「選手のジム移籍に関して、ルールと実態が一致していないのでは」と注視している。

 JBCのルールには「マネージャーと契約ボクサーとの間のマネージメント契約の期間は、3年間を超えてはならない」「双方の当事者から異議の申し出がない場合、そのマネージメント契約は自動的に更新されたものとみなす」と記されている。簡潔に言えば「選手はジムと最長で3年ごとの契約」「異議がなければ自動更新」というもの。ルール上、ジム移籍の制限はないが、トラブルは絶えない。

 日本独特の「ジム制度」はボクサー育成に優れ、寮や就職をあっせんするなど家庭的な側面もある。ジムには先行投資の考えがあり、初心者でも熱心に育て、試合の機会を与え、日本ボクシングの底辺拡大を支えている。

 一方でジムとプロボクサーの家庭的なつながりは、契約に基づく関係という意識を希薄にさせてきた。マネジャーとボクサーの契約書に契約期間は書かれていない。あるボクサーは「待遇面や指導方針の違いでジムを移籍したい選手はいると思う。だけど、自分の契約期間を明確に知っている選手はほとんどいないのでは」と打ち明ける。

 加えて、契約満了後でも新たなジムに移るためには「移籍届」が必要で、移籍前に所属していたジムの許諾サインが慣例とされてきた。だが、先行投資をしてきたボクサーに「裏切られた」と感情的になった元の所属ジムが許諾のサインを拒んで移籍が実現せず、競技生活に影響を及ぼすケースも多かった。

 JBCの安河内剛事務局長は「ルール上は問題なくても、運用面で移籍制限があったり、トラブルが顕在化しているのは事実」と認め、「昨年からJPBAと改善策を話し合い、練ってきた。まずは選手ファースト。公共性や社会接点の強いスポーツの統括団体として、よりよい環境をつくっていく。時代に合っていない競技は淘汰(とうた)されていくだけ」と危機感を示す。移籍届は既に廃止し、契約書は期間が明記されたものに変更するという。

 今後、JBCとJPBAは各地で講習会を開き、ジムと選手に「最長で3年ごとの契約」を周知徹底していく。安河内氏は「契約の重要性を説き、ルールに則した運用を伝えていく。それと2000人以上いるプロボクサーたちに契約満了日が分かるシステムを構築していきたい」と話している。

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◆制限規定 独禁法違反の恐れ

 公正取引委員会はスポーツ選手やフリーランスで働く人の移籍を制限する規定や慣例が独禁法違反の恐れがあるとして、スポーツ団体などの聞き取り調査を進めている。選手らの権利を守る「アスリートファースト(選手第一)」の観点から、競技団体や運営団体に規定の見直しの動きが出始めている。

 公取委の有識者会議は昨年2月、芸能人やスポーツ選手の契約のあり方についての報告書を公表。過度の移籍制限が独禁法上問題があるとの見解を示した。選手の移籍を事実上制限する規定が問題視された日本実業団陸上競技連合なども調査を受けた。

 また、スポーツ選手など個人を対象に、移籍を制限するルールや、移籍後に大会に出場ができなくなるような競技団体の規定、慣習的に行われている事実上のルールなどがないか、情報提供を呼び掛けていた。

 

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