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【長久保宏美のリポート福島】

分別待つ大量の汚染土 中間貯蔵施設、用地契約は1000ヘクタール超

右奥から手前にかけて2段階に分けて汚染土が分別されていく=いずれも福島県大熊町で

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 東京電力福島第一原発事故に伴い、福島県内での除染で発生した廃棄物の中間貯蔵施設(大熊、双葉町)を、環境省が公開した。どのような段取りで中間貯蔵するのか。

 土や草木などの放射性物質を含む廃棄物は、一立方メートルの容量がある大きな袋に入れられて、県内各地の仮置き場に積まれている。袋は十トンダンプカーに四、五個ずつ積まれて施設に運ばれ、分別されていた。草木などを取り除いた汚染土と、草木を焼却して出た灰を、埋めたり容器に入れたりして貯蔵する。

 施設の予定地は、福島第一原発の敷地を囲むように広がる。既に稼働しているのは、五カ所の受け入れ・分別施設と、四カ所の土壌貯蔵施設。来年三月までに、それぞれ七カ所に増える予定だ。

 「大熊第一工区」の受け入れ・分別施設では、ダンプカーから袋をクレーンでつり上げ、コンベヤーで建屋内部に運んでいた。機械で袋を切り、「ふるい」にかけ、大きな石や木の根、袋の破片などを取り除く。一時間に平均百四十トンを処理するという。

白い遮水シートの上に分別後の汚染土が埋められていく

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 五、六人の作業員が手作業で、袋の破片を取り除いている工程があった。比較的汚染度が低い、一キロ当たり八〇〇〇ベクレル以下の汚染土を扱っていたとはいえ、通常の作業服にマスクという装備。作業員の被ばくを心配すると、環境省の担当者が「秋以降、機械化する予定です」と答えた。

 貯蔵施設は巨大なすり鉢状で、汚染土を入れ、ローラーで押し固めていた。貯蔵というより、埋め立てるという感覚だ。白っぽいコンクリートのように見える周囲ののり面は、底面から続く五層構造の遮水シートの不織布部分。汚染された雨水が外に漏れるのを防ぐシートで、ゼネコンの担当者は「一般の産業廃棄物の最終処分場で使われている物と同じ」と説明した。

 環境省は県内で発生した廃棄物の量を、最大二千二百万袋(東京ドーム十八個分)と推計。うち、搬入されたのは九月四日現在で6%程度の約百二十四万個。それでも大量の袋が施設内の保管場に積まれ、処理を待つ。途方もない量の除染廃棄物がすべてここに安全に収まるのか、不安になる。

 千六百ヘクタールの予定地のうち、取得契約が済んだのは、八月末時点で六割の一千ヘクタールほど。福島地方環境事務所中間貯蔵部調査設計課の平塚二朗課長は「事業は順調」としながらも「契約済みの土地がすべてまとまった形で取得できているわけではない」という。いわば虫食い状態で「引き続き地権者に丁寧な説明をしていく」と話した。

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 あくまでも「中間貯蔵」であって、法律では保管した廃棄物を二〇四五年三月までに県外に運び出し、最終処分することになっている。だが、最終処分地は未定のまま。中間貯蔵施設の予定地の地権者の間には「このまま最終処分場にされるのでは」という懸念が強く、用地交渉が容易にまとまる状況ではない。

 一方で、環境省はすべての汚染土を中間貯蔵施設に搬入する方針ではない。汚染土の大半を占める八〇〇〇ベクレル以下の土の一部を、公共事業で再利用する計画だ。今年五月には二本松市の市道の路盤に再利用する実証事業を試みたが、住民が反対し、計画は止まっている。住民の懸念と、国の姿勢との間の溝は深い。 (福島特別支局長)

 

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