東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > 東日本大震災 > 長久保宏美のリポート福島 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

【長久保宏美のリポート福島】

放射線不安、避難を長期化 アンケートから見える避難者

山形県が原発事故以降、毎年避難者に実施している調査集計結果

写真
写真

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の後、福島県に隣接する山形県は毎年、県内に避難した人たちにアンケートを続けている。対象の多くは、福島県から避難した。調査結果からは、母親と子どもだけで避難した世帯が今も二割を占め、放射線への不安が避難を長期化させていることが読み取れる。

 「極めて多くの方々が避難してきたため、避難者がどういう状況にあるのか、どのようなニーズがあるのか、実情を知って支援に生かす必要がありました。今後も調査を続けていきたい」

 山形県復興・避難者支援室の星里香子室長が、こう語った。政府や山形県の資料によると、原発事故の翌年の二〇一二年一月当時で、県内への避難者は約一万三千八百人に上った。

 県は事故七カ月後の一一年十月、最初のアンケートを、県内に避難した四千六百五十一世帯に、郵送で実施した。回収率は35・5%。福島県から避難した人が九割を占めた。以後、調査を毎年夏から秋にかけて実施している。

 翌一二年十月の調査で、ある特徴が浮かんだ。避難者の家族構成は39・5%が母子世帯で、家族全員で避難した35・5%を上回った。避難の理由で最も多かったのは「放射線の影響が心配」の65・6%。「避難指示等があった」(21・7%)を上回った。子どもへの放射線の影響を心配し、父親は勤務先のある福島に残り、母親と子が避難した状況が浮かんだ。

 今年七月の調査では、回答した二百世帯のうち、母子世帯が20・5%まで減った。避難を続ける理由は「放射線の影響が心配」が43・5%。「避難指示等があった」(36%)を、今も上回る。

 避難した人たちが住んでいるのは、自己負担での賃貸住宅が36%と最多。避難指示区域から避難した人たちが対象の借り上げ賃貸住宅(みなし仮設)は25%。昨年三月、避難指示区域以外から避難した人たちへの住宅供与が終了したことを受けたのか、みなし仮設の比率は、一昨年の半分以下だった。避難後に取得した持ち家が23・5%、公営住宅は6・5%だった。

 今の生活で困っていること、不安なことを複数回答で調べると「生活資金」が64%で最多。自分や家族の体の健康(49%)、住まいのこと(40・5%)と続いた。世帯の生活資金のうち、東電の損害賠償金と答えたのは14%にとどまった。

 今年十月、山形県が各市町村に照会した結果、県内への避難者は二千十一人。91・6%が福島県から避難した人で、うち、避難指示区域外から避難した人が千四百七十七人で、73・4%を占めている。 (福島特別支局長)

<山形市で避難者の支援をしているNPO法人「山形の公益活動を応援する会・アミル」事務局の石山由美子さんの話> 県内九つの市町にある社会福祉協議会には、それぞれ生活相談支援員がいます。支援員は、避難者の八割の実態を把握しています。私たちは避難した方々の伴走者、意見の翻訳者です。県営住宅への入居申し込みなど、煩雑な行政手続きを、丁寧に説明しています。

山形県内に避難している女性の相談を受けるNPO法人アミルのスタッフ=山形市で(アミル提供)

写真
 

この記事を印刷する

PR情報