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【長久保宏美のリポート福島】

被災自治体職員のメンタル 広域的な支援体制整備を

被災自治体職員の現状について説明する沢田精一書記長

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 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から、三月で八年となる。福島県の被災自治体では、県外からの応援職員も協力して業務に当たっているが、通常業務に加えて復興関連の仕事が増え、職員が強いストレスを抱えていることが、労組の調査で分かっている。調査した自治労福島県本部書記長の沢田精一さん(51)に、被災自治体の職員が抱える問題について聴いた。

 −昨年三月に発表した「原発被災自治体職員アンケート」では、八割以上の職員が「職務上の知識・経験の不足」を原因とするストレスを感じていると回答した。その後、状況に変化は?

 沢田さん 基本的には忙しく、人手が足りない状況に変わりはない。浪江町、富岡町では県内外に避難している町民への対応が多い。また、震災後に早期退職者が増えた。その分を新規に採用しているが、震災以降に職員の半数が入れ替わった自治体もある。経験が浅い職員が昇進し、より若い職員を指導できず、ストレスを抱えている。

 −昨年十二月一日現在で県が公表した「東日本大震災に関連し必要とされる職員の派遣等状況」によると、自治体への派遣、採用とも、ほぼすべての自治体で要望通りの職員数が充足されていることになっている。一方で、県市町村行政課の担当者は「この数字をもって、すべての被災自治体で職員が足りていることにはならない。特に技術職は足りない状態が継続している」と話す。

 沢田さん 地元出身者以外の新規採用職員のなかには、早期に退職してしまう職員もいる。現場でつらい思いをしていると聞く。震災を経験していない職員は、住民との共通体験がないことを気にする。それで住民との関係をうまくつくれず、悩む。先輩がフォローしきれない。

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 −今年五月には、大熊町が町内の復興拠点に役場を移して業務を始めるなど、今後は放射線量が比較的高い帰還困難区域を集中的に除染して、避難指示を解除しようとする動きが本格化する。

 沢田さん 職員の中には放射能汚染の影響や、病院などの社会インフラの見通しを考え、地元に戻って勤務することに抵抗を感じる職員もいると聞いている。浪江町も富岡町も、職員の多くは元の自宅に住んでいない。また、家族と離れて生活している職員も多い。役場が元の自治体に戻ると業務量がさらに増えるのではないかという懸念もある。

 −今後、被災自治体職員の仕事を円滑に進めるために、必要な施策は?

 沢田さん 広域的なメンタルヘルスケアの仕組みが必要だと考えている。福島県立医大の専門家に相談しているが、まだ、仕組みは具体化できていない。

◆アンケートでの自由記述から

・何をしたらどこまでが復興なのか分からない

・辞めるべきでない大勢の職員が辞めていった

・7年間一度も落ちついたことがない。気分が異常にハイテンションだ

・燃え尽きた

・子どもにかけてあげたい時間を仕事に費やしてしまったことが残念

<原発被災自治体職員アンケート> 自治労福島県本部が2017年11〜12月、原発事故で被災、避難した南相馬市と、広野、楢葉、富岡、大熊、双葉、浪江各町、川内、葛尾、飯舘各村の計10自治体の職員を対象に、生活環境や意識を調査した。課長補佐以上などの管理職を除く2530人を対象に実施し、65.8%の1664人が回答した。回答者の主な雇用形態は、正職員が66.3%、臨時・非常勤等18.1%、派遣(応援)職員3.6%。正職員の採用時期は震災後採用が42.8%、震災前57.2%だった。

 

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