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【長久保宏美のリポート福島】

縮小続く避難者への住宅支援  原発被害者連絡会幹事・村田弘(ひろむ)さんに聞く

避難した人たちの住まいの問題について話す村田さん

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 東京電力福島第一原発事故からまもなく八年、避難している人たちへの住宅支援が縮小を続けている。三月末で、福島県南相馬市などの仮設・借り上げ住宅の無償提供が終了するほか、県内の避難指示区域外から避難した人への民間賃貸住宅の家賃補助も打ち切られる。避難者の住まいへの支援を続けている原発被害者団体連絡会幹事の村田弘(ひろむ)さん(76)に実情を聴いた。

  一月十日現在の復興庁のまとめで、福島県外に避難している住民は三万二千七百六十八人。県内も含めると四万二千人以上にのぼる。

 今、切迫しているのは、避難指示区域外から民間賃貸住宅に避難して、家賃補助を受けている約二千世帯への補助の打ち切りです。補助は、所得が月二十一万四千円以下の世帯を対象に、一七年度で上限三万円、一八年度は同二万円。これに、神奈川県は一万円を独自予算で上乗せしていましたが、福島県が打ち切るので、これも同じ三月で打ち切られます。さらに民間住宅だと、二年ごとに更新料が請求されます。

 避難指示区域外から東京都江東区の東雲(しののめ)など、公務員住宅に入居している約百三十世帯への住宅提供も終わります。公務員と同等家賃を支払っていますが、三月末で退去しない場合、二倍の家賃を支払うという条項が契約書にあります。家族構成など世帯要件があり、簡単には都営住宅などに入れない人もいます。

 そもそも、現在に至るまで転居できないのは、経済的余裕がないからと考えるのが普通。当の福島県がどの程度、避難者の実情を把握しているのか、疑問を感じます。

  福島県の内堀雅雄知事は記者会見などで一貫して、避難指示区域外からの避難者を含めた実態調査をする必要はなく、避難者の個別の相談に対応するとの姿勢を示している。

 山形県や新潟県は実態調査をしています。私たちは、すべての避難者が自立できるとは限らないと思うから、心配しているのです。

 私たちと一緒に避難者の住宅問題に取り組む「避難の協同センター」(東京)が一月、東雲の公務員住宅で相談会を開きました。そこで、ある避難者が「三月十日までに転居先が決まらないと転居費用補助十万円が支給されないが、希望する物件がなく焦っている」と打ち明けました。

 会場に来ていた福島県職員に、センターのスタッフが確認すると「来年度から、区域外避難者への経済的支援予算はゼロ。三月十日までに申請を頂かないと、年度内に執行できない」とのことでした。

  福島県は支援縮小の理由を、復興公営住宅の整備がほぼ完了したことや、「生活再建のめどを早めに立ててもらうため」としている。

 東京で五輪が開かれる二〇二〇年の三月末には大熊、双葉町を除いて、放射線量が高い帰還困難区域から避難した人への住宅の無償提供も打ち切られます。避難先での生活再建が、そう簡単にいかない人もいます。今年に入ってからも、住宅の問題で精神的に追い詰められた人が、私のところに相談しに来ました。行政には、経済的な理由で転居できない世帯に、柔軟に対応してほしいと思います。 (聞き手・福島特別支局長)

村田さんら(左側)の福島県担当者への交渉は14回に及んだ=福島市で

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◆緊急ホットライン

 「避難の協同センター」は原発事故で避難した人を対象に、住宅関連の相談を受け付ける無料緊急ホットライン=電(0120)311557=を設ける。2月28日午後2〜8時と3月2日午前11時〜午後5時。

<むらた・ひろむ> 朝日新聞を定年退職し、故郷の南相馬市小高区で農作業中に、東京電力福島第一原発の事故が発生。横浜市に避難した。「福島原発かながわ訴訟原告団」団長。

 

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