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【長久保宏美のリポート福島】

郡山で放射線の学習会 計測、続けることが大切

会場で寄せられた疑問に答える木村准教授

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 東京電力福島第一原発事故を受け、放射性物質や放射線についての疑問に答える「いまさらきけないホウシャノウのはなし」が九日、福島県郡山市の市労働福祉会館で開かれた。二本松市放射線アドバイザーの木村真三・独協医科大准教授(放射線衛生学)の講演と回答を紹介する。

 −福島県内の山菜や川魚はもう食べてもいいですか。

 放射能濃度を測ってから食べてください。野生の山菜コシアブラなどは、今でも放射能濃度の基準値を超える物が直売所などで売られていることがあります。川魚も注意が必要。海の魚と違い、淡水魚はセシウムを蓄積します。

 −先生が考える放射線量の許容範囲は、どのくらいのレベルですか。

 毎時〇・一マイクロシーベルトです。原発事故前の岐阜県の平均的な線量のレベル。岐阜県は古い地層が露出している所が比較的多く、他県に比べて若干、天然の放射線量が高いのです。

 −福島でいつまで放射線に気を付ければいいですか。

 ずっとです。山林の植物による生体濃縮で、セシウムが減るのに時間がかかる恐れがあります。被ばくすると体の細胞に傷をつけます。これを治す仕組みが人間にはありますが、たくさん浴びると「修復」で間違いを起こすことがあります。間違った修復をした細胞は「がん」になることもあります。少しなら浴びても大丈夫ということはありません。計測、記録を続けることが大切です。

 −私の家は浪江町津島地区で放射線量の高い帰還困難区域です。住めるようにする特定復興再生拠点の除染で出た汚染土の仮置き場が、地区内にできようとしています。

 あってはならないこと。放射線量が高い場所を無理やり除染して、なし崩し的に住民を帰そうとしている。国や県は特定復興再生拠点を整備して、大丈夫になったと強調したいのだと思います。

 −自分でできる原子力防災を再確認したい。

 冷静さを保つ必要があります。(1)風呂の水をいっぱいにためて飲料水を確保(2)水は貴重なので、体はぬれタオルで拭く(3)すべての窓に目張りをする(4)換気扇は止める(5)車のエアコンは外気を取り込まない内気循環モードにする(6)ガソリンが三分の一まで減ったらすぐ満タンにするくせをつけておく(7)正確な情報を得るまで自宅で待機する(8)活性炭入りマスクを用意する。

 −原発事故の子どもや妊婦らの心と体への影響をどう考えますか。

 事故当時、どこに住んでいたかによって対応が変わります。子どもに甲状腺検査を受けさせてください。精神的な影響については、二本松市での学習会が参考になります。不安でいっぱいだった人もグループカウンセリングを通じて、理解を深め、少しずつ安心していきます。

 「いまさらきけないホウシャノウのはなし」は昨年九月に続き二回目。県民らでつくる「いまさらきけないプロジェクト」と、放射線防護の知識を広める認定NPO法人「ふくしま30年プロジェクト」が主催し、小学生からお年寄りまで約八十人が参加した。 (福島特別支局長)

◆講演の内容

 原発事故で放出された放射性物質のうち、放射線の量が半分になる時間(半減期)はヨウ素131が8日、セシウム134が2年、セシウム137が30年。大事なのは、半分になるだけで、ゼロにはならない点。そして二本松市内などでは、この「物理学的半減期」通りには放射性セシウムが減っていないケースがある。樹木の葉に付着したセシウムは落ち葉と共に土となり、また、直接汚染された土から、木の根が養分と共に吸収、再び葉に行き着く。これを繰り返し、セシウム濃度が高くなる「生体濃縮」が起きている。

参加者は熱心にメモをとりながら耳を傾けた=福島県郡山市で

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