東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > 2020東京五輪 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

【2020東京五輪】

<東京パラリンピックへの道>(23)日英研究者がパラスポーツシンポ 「先輩」英国の経験に学ぶ

日英両国の研究者らが集まって開かれたシンポジウム=千代田区の参院議員会館で

写真

 日本と英国で、障害者やパラスポーツ、パラリンピックをテーマとする研究者約二十人が参加したシンポジウム「パラリンピックの社会的遺産」が東京都内で開かれた。大学の研究者だけでなく、パラスポーツの現場に携わる実務レベルの関係者も参加した。

 二〇一二年に英国で開かれたロンドン・パラリンピックでは、チケットが完売。テレビの放映時間が延べ約五百時間に及んだ。大会が残したものを検討する英国側研究者が、日本側に呼びかけて開催した。

 コベントリー大のイアン・ブリテン准教授は、日本国内での社会における障害者の問題を実地に検証した。例えば通勤時間帯の鉄道駅では、「エレベーターは決して障害者向けではなく、障害者も並ばねばならない」「始発時間にはまだエレベーターが動いていないこともある」などを指摘。「障害者を制限している」と主張した。さらに「障害のない人を『健常者』と呼ぶが、それならば『障害者は健康、健全でない』ということか」と訴え、「健常者という表現はよくない」とも呼びかけた。

 日本財団パラリンピックサポートセンターのプロジェクトマネジャー、マセソン美季さんは、ウスター大のレベッカ・フォスターさんとともに、国際パラリンピック委員会の公認教材「I’m POSSIBLE(アイム ポッシブル)」について報告。小中高校や特別支援学校の児童・生徒にパラリンピックの魅力を伝える内容を紹介した。

 一九九八年長野パラリンピックのアイススレッジ・スピードレースで金三個、銀一個のメダルを獲得したマセソンさんは、日本版教材の開発・普及に取り組んでおり、「パラリンピック教育が学習指導要領に入る。子どもたちにどんな変化が起きてくるのか」と期待した。

 参加者からは「二〇二〇年東京大会で何が達成できるのか」などの呼びかけがあり、日英間で研究者のネットワークを構築することなどを申し合わせた。

 ×   ×   × 

ボート競技の会場「海の森水上競技場」を見学する参加者。後方は東京ゲートブリッジ=都内で

写真

 シンポジウムに先立ち、参加者らは建設が進む東京五輪・パラリンピック施設を見学した。元都副知事の青山〓(やすし)明治大名誉教授が代表を務める都市調査会が主催した。

 東京大会の会場は内陸部(ヘリテッジゾーン)と東京湾岸(ベイゾーン)の二つに分かれる。一行は主にベイエリアのカヌー・スラローム会場(江戸川区)やボート競技の「海の森水上競技場」などを回り、青山名誉教授が開発状況などを解説した。

 五輪開催都市に詳しい明治大元特別招聘(しょうへい)教授でオックスフォード・ブルックス大のジョン・ゴールド教授(都市歴史地理学)は「水準以上の完成度だ」と評価。ロンドン五輪に比べて会場のベイエリアと内陸部が離れていることから「両会場を結ぶ交通機関が課題」と指摘した。

 同行した早坂義弘都議は「東京パラのチケットが完売し、会場が満席になるだけで成功と言えるのか」と疑問を呈し、マセソンさんは「会場に来る障害者らいろんな立場の人に、道中を含めていかに適切に対応できるか、ホストシティーの力が試されている」と訴えた。 (加藤行平)

 ◇ 

 「東京パラリンピックへの道」は今回で終わります。

※〓は、にんべんに八の下に月

 

この記事を印刷する

PR情報